寺島尚正 今日の絵日記
2021年5月3日 今年はこれで邪気払い
今年も大型連休を迎えた。
しかし、去年に続いて、東京には「緊急事態宣言」が出され
不要不急の外出は自粛しなければならない状況。
1人部屋に籠っているだけでは心が塞ぎがちになる。
例年以上に気分転換を心掛けたい。
5月に入ると3日が憲法記念日、4日はみどりの日、そして、5日の子供の日と続く。
個人的には、毎年「端午の節句」に菖蒲湯に入ることにしている。
この頃になると、スーパーには、緑色で刃のような「菖蒲の葉」が姿を見せる。ある程度日持ちするらしく、
店によっては3日程前から登場する様だ。
菖蒲湯の由来は、古代中国で始まった端午の節句の風習にある。
当時の端午の節句は、邪気や魔物を祓う厄祓いの行事だった。
端午の節句のある旧暦の5月初め、現在の6月初めから中旬は梅雨の季節にあたるが、中国でも長雨の時期。
当時は、この季節に起こる大雨による被害や病気の流行、更にはものが腐りやすいといった事は、
すべて邪気や魔物の毒気の仕業と考えた。
そこで、その強い香りから邪気を祓う効果があるとされた菖蒲や、よもぎなどの薬草を摘んで飾ったり、
菖蒲酒にして飲んだり、葉や根を束ねてお風呂に入れる菖蒲湯に浸かったり、
といった風習が生まれたといわれている。
その中国の端午の節句の風習は、日本へは奈良時代に伝わったと言われている。
それ以前から日本には、5月のこの時期には年若い早乙女(さおとめ)が
田植え前の禊(みそぎ)として菖蒲で身を清める五月忌み(さつきいみ)という行事があった。
早乙女たちは刻んだ菖蒲の根を浸して作った菖蒲酒を飲んで、その身を清めた。
そういった習わしが中国から伝わった端午の節句と結びつき、
日本で菖蒲を使った様々な風習が生まれていったようだ。
日本でも季節の変わり目で病気になりやすかったこの時期は毒月とも呼ばれ、
昔の人は野で摘んだ菖蒲やよもぎなどの薬草を食して毒を祓おうとしていたと言われる。
時は流れ、奈良・平安時代になると、貴族たちは、厄除けのために菖蒲を軒先や屋根に飾ったり、
菖蒲の葉を球形に編んだ中によもぎなどの薬草を入れた薬玉(くすだま)を作って吊るしたりしていたそうである。
また、鎌倉・江戸の武家社会では端午の節句に菖蒲の葉を刀に見立てて飾り、
菖蒲を尚武(しょうぶ)と語呂合わせして、盛んにお祝いしていたと言われる。
菖蒲の色、浅黄色は厄除けを表し、衣装などに使われていたという。
また、本来の菖蒲湯は、菖蒲の葉や根を束ねて直接お風呂に入れて沸かすものではなく、
5月4日の晩に枕の下に菖蒲をしいて菖蒲枕として使ったものを、
5月5日にお風呂の湯に浮かべて無病息災を願って入浴するものだそうだ。
日本も「新型コロナウイルス」という魔物と闘っている今、気持ちを強く持ち
少しでも免疫力を高めたいものである。
先週木曜にスーパーに行き、便利なものを見つけた。
ティーバッグ入りの菖蒲だ。匂い菖蒲を乾燥させ、細かくし、ティーバッグに入れたもの。
それを湯船に入れるだけだ。
「やはり、生の菖蒲を湯に入れたい」という思いより「香りが味わえれば十分」
という方には後の処理も簡単でお勧めだ。2包で150円程度。
今年はこちらで邪気を退散させよう。
原材料を見ると、茨城県産のしょうぶと、愛媛県産のみかん、
それに国産よもぎが入っている。
今から香りが楽しみだ。