寺島尚正 今日の絵日記
2021年4月12日 雄花で決まりやがな!
緑が爽やかな季節。
週末、街を歩くと、ついこの前まで裸になっていたイチョウの枝に、
可愛らしい葉がついていた。
古い時代、日本に渡来したとされるイチョウは、各地に巨木がある他、
街路樹としても北海道から九州まで全国的に利用されている。
東京都の木はイチョウである。
よく見ると、葉の間に、緑色の房の様なものが見える。花だ。
イチョウの花と書くと、「植物学的には裸子植物の場合、花はない」という方もおられるだろうが、
ここでは一般性のある「花」と呼ばせて頂く。
調べてみた。
「イチョウの花は,雌花と雄花がある。雌花は,雌の木に咲いて,
雄花は,雄の木に咲く。雌花は,黄緑色で,カマキリの頭みたいな細長い形をしていて,
先の方に実になるところが普通 2 つある。
雌花は葉の付け根から小さくピョンと出ているだけで、色も葉と同じ色なので
近寄ってよく見ないと見つけることは難しい。
雄花は,薄い黄色で,房になっており、花粉を出し終えると地面へ落ちるので、
その時期になれば地面が雄花だらけになる。」
ということは、私が見ているのは「雄花」で間違いない。
ところで、イチョウの実はギンナン。ではどうやって結実するのか。
結実するには必ず受粉が必要だ。
イチョウでは雌花への受粉は風媒、つまり風によって花粉が運ばれる。
イチョウの花粉は風によって1km以上も運ばれると言われる。
近くに雄木が見えなくとも、開花期の4月中下旬の風上方向で範囲内に雄木があれば、
受粉する可能性は十分考えられる。
ところで、イチョウの結実には長い期間を要すると言われている。
それは、雌花が4月中旬に受粉されても受精するのが9月上旬ころになるということ。
また、受粉されたといっても必ず受精するわけではなく、受精しないものもあるという。
しかし、受精しなくても落果には至らずに、受精したものと同様に生長し、食用上も差が感じられない。
ただし、それらを播いて芽が出るかといえば、受精していないものは、発芽しないのだ。
ここから、イチョウの実が出来るという事には受粉が重要ということがわかる。
ギンナンを頂く我々からしてみれば、沢山実が落ちた方が有難い。
鶏卵の有精卵と無精卵の差とも少し違うようではあるし。
改めて自然は単純ではないのだと感じる。
イチョウの花言葉は「荘厳」「長寿」「鎮魂」。
秋の佇まいが浮かんでくる。