浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2020年12月21日 湯に浮かぶ日

「冬至冬中冬始め」
暦の上では、冬至は冬のまん中にあたるが、実際には厳しい寒さの冬の開始を告げるものであることをいう。
12月21日。今年も冬至の時期となった。
冬至とは24節気の一つで、1年で夜が最も長く昼が短い日。
気象学からすると、太陽が一番南にある状態で、北半球では1年中で昼が一番短く、夜が一番長くなる日を意味する。
冬至の別名は「一陽来復の日」。
冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、
この日を境に再び力が甦ってくるという前向きな意味合いを含んだ言葉である。
冬至を境に運も上昇するとされているので、カボチャを食べて栄養を付け、
身体を温めるゆず湯に入り無病息災を願いながら寒い冬を乗りきる知恵とされている。
冬至になぜカボチャを食べるのだろうか。
カボチャは南アメリカ大陸原産で、生育の適温は25~30℃前後。熱帯性の植物だ。日本での旬の時期は夏だ。
その夏野菜のカボチャが、どうして冬の季節である「冬至」に食べられるようになったのだろう。
調べてみると、カボチャの保存期間の長さにあったようだ。
今では野菜の冷蔵や冷凍技術が進んでいるが、昔は現代と違って野菜を1年中食べることは難しい時代だった。
そのため、ビタミンなどの多くの栄養を含むカボチャを、野菜不足となる冬の時期に食べることで、
厳しい冬を乗り切ろうという江戸時代の人たちの「冬至の日」への想いが込められているという。
現在は、真冬でもハウス栽培や海外からの輸入など、
豊富に野菜を食べることができカボチャも旬の状態で食べることができるが、
江戸時代から現代まで風習として残っているのだという。
また冬至と言えば、柚子湯。冬至の日になぜ柚子湯に入るのだろうか。
こちらは『語呂合わせ』から来ているようだ。
冬至の読み方は「とうじ」。
お湯に入り、病気を治すのも湯治(とうじ)。
この語呂合わせに加え、柚子(ゆず)と融通(ゆうずう)がきくようにという願いも込められているらしい。
また、カボチャと違い、冬が旬の柚子は香りも強いため、邪気を避け、
運を呼び込む前の厄払いの目的でも使用するようだ。
柚子湯に入ると、一年間風邪をひかないと昔からいわれている。
柚子には血行を促進や、身体を温めて風邪を予防する働きがあるそうだ。
果皮にはビタミンCやクエン酸が含まれていて美肌効果もあるという。
柚子の浮かべ方にも、丸ごと湯船に浮かべたり、 柚子を手でもみ、軽く潰しながら湯船に浮かべる。
また柚子を切って、ネットに入れてから浮かべるなど、お好みによって色々あるようだ。
ただし、 敏感肌の方は柚子の搾り汁にヒリヒリとした感覚や、痒みなどの反応が出ることがあるそうだ。
調べていくうちに、「冬の七草」というのが出てきた。
「春の七草」は有名だが、冬の七草は
なんきん・れんこん・にんじん・ぎんなん・きんかん・かんてん
うんどん(うどん)とすべて平仮名表記。これには理由がある。
この冬の七草は、「ん」が2つある食べ物なので、運を沢山取り込む「運盛りの野菜」といわれ、
冬至を境に運を盛り返す意味でカボチャを食べるようになった由来の一つの様である。
因みに、東京、21日、日の出時刻は6時47分。
新年1日から13日までが6時51分と最も遅くなる。
冬至の日の出の時刻が1番遅いわけではなく、日の入りが冬至には既に少しづつ遅くなっていく。
「冬至十日経てば阿呆でも知る」
冬至を十日も過ぎればめっきりと日が長くなるので、どんなに鈍い人でも気づくということだが、
私は気づけるだろうか。

湯に浮かぶ日
湯に浮かぶ日

  • twitter
  • facebook
  • radiko
  • twitter
  • facebook
  • pagetop
Copyright © Nippon Cultural Broadcasting Inc.All right reserved.