寺島尚正 今日の絵日記
2020年12月7日 カプセル発見!
再び日本の宇宙航空開発の研究者達が凄いことをやってのけた。
日本の探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還し、
落下地点のオーストラリアに着地、無事回収された。
2014年12月3日。鹿児島県種子島にあるJAXA宇宙センターから、
小惑星探査機「はやぶさ2」は打ち上げられた。あれからちょうど6年。
地球から2億キロメートル以上離れた場所にある、
直径1キロメートルにも満たない小惑星にピンポイントで到達し、
人工的にクレーターを作ることなど
予定されていたほぼすべてのミッションを無事にこなした。
カプセルの中には小惑星「リュウグウ」の砂が1グラム入っている。
なぜはやぶさ2は小惑星に向かったのか。
2010年に地球へと帰還した「はやぶさ」で実証された日本の宇宙探査技術を
さらに深め発展させるために加え、小惑星の試料には、
太陽系が誕生した当時の状況を知る上での大きな手がかりが眠っていると考えられている。
それは、私たちの住む地球や、人間をはじめとした生物が
どこから来たのかということを理解する上で、重要なヒントが隠されているということでもある。
小惑星を探査することは、私たち自身を理解することにもつながるのだ。
大きな期待を背負ったはやぶさ2は、7つの「世界初」を達成したと言われる。
そのどれもがすごい成果だが、驚異的だったのは、
小惑星に着陸して地表の岩石や砂などの試料を採取する「タッチダウン」を行った際の着陸精度の高さ。
はやぶさ2が小惑星リュウグウに到着したのは、2018年6月。
しかし、はやぶさ2が実際にリュウグウの地表に着陸できたのは、その8カ月後。
リュウグウへの到着後、プロジェクトチームは着陸候補場所を探したが、
リュウグウの表面は、当初想定していたよりも凹凸が激しかった。
表面の凹凸は、着陸時の機体損傷の恐れを意味する。
プロジェクトマネージャの津田教授が、「リュウグウが牙を剥いてきました」と、
着陸の難しさを表現したのは記憶にあるだろう。
はやぶさ2の一番重要な目的は「リュウグウに着陸してその地表にある砂や岩石を採取し、
地球へと無事に持ち帰ること」。
機体損傷は「地球に帰ってくる」という最低限のミッションさえも奪ってしまう恐れがあった。
さらに、地球からはやぶさ2に細かい指示を送ろうにも、
地球からリュウグウまでの距離は約3億4千万km。
通信には片道だけで19分の時差が生じる。
はやぶさ2から送られてくるデータを確認してから、
ここぞというタイミングで仕事をさせようと思っても、
地球から操縦していては到底間に合わない。
だからこそ、はやぶさ2が小惑星に着陸する際に、
はやぶさ2自身が周囲の環境を把握し、自律的に機体を制御しなければならなかった。
プロジェクトチームは、リュウグウの状況を確認後、
当初予定していた2018年10月の着陸を断念。
その分、着陸の訓練や着陸地点の見極めなどに時間を費やす選択をした。
そして、いよいよその日が来た。2019年2月22日,
はやぶさ2は,リュウグウの上空約20km付近から狙いを定めてタッチダウン。
半径3mという探査機の大きさとほぼ同じ領域に,見事狙い通りタッチダウンすることに成功した。
難しい条件の中で,これほどの精度でタッチダウンを成功させた例は,世界でも類をみない。
また、初代はやぶさとはやぶさ2は,小惑星にタッチダウンする際に,
機体に備わっている弾丸を小惑星表面に撃ち込むことで地面を砕き,
砂粒などを舞い上げて試料を採取する機構が備わっている。
初代はやぶさでは,この工程が上手く作動していなかった。
22日の朝に行われたタッチダウンでは,この弾丸発射も問題なく作動したことが確認された。
ほぼすべてのオペレーションがスムーズに進み時短に次ぐ時短でミッション完了。
リュウグウには、太古の生命が関係する有機物や水などが眠っていると考えられており、
それを分析すると生命の起源の謎の解明に一気に近づけるかもしれない。
もし生命の痕跡がリュウグウで発見されたら場合によっては
これまで常識とされてき新たなミッションに向かっていて、
別の小惑星「1998KY26」へ11年後に到着し、探査を行うことになっている。
恐ろしいほどタフな探査機である。