寺島尚正 今日の絵日記
2020年9月21日 国技館到着
シルバーウィーク2日目の日曜日。この連休、高速道路の上りは渋滞、
羽田空港一部の便は満席など、新型コロナウイルス感染拡大で自粛ムードだった世の中は、
「GOTOトラベル」などが進み、以前に戻りつつある。
新型コロナウイルスの現在の状況について専門家はどう見ているのか。
ある専門家は「新規感染者や感染経路が分からない人の数が
東京都内だけでなく全国各地で増加に転じている。
イベントの開催制限も緩和されたが、もう大丈夫だと思って対策を緩めてしまうと、
人出が多ければ感染の機会が増えてしまうので危惧している。
移動そのものが問題ではなくて狭い空間で近い距離で
マスクをせずに会食をするなどといった行動をすることが最も感染のリスクが高い。
3密を避けることが引き続き重要。今は活動を広げることと、
感染対策の両立を意識することが大事で、この4連休で試されている」と、
改めて基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけている。
思えば、3月の連休の際、まだ知識不足だった私達は「大丈夫なのではないかな」と
平常の行動をして感染が拡大した苦い経験を持つ。
日曜の午後、両国国技館へ相撲観戦に出掛けた。
日本相撲協会のコロナ対策は徹底していた。
まず、チケットに注意事項が書かれている「37.5度以上の方、
体調不良の方は入場不可。大声での応援・アルコールの持ち込み禁止。
再入場不可、マスク着用、規制退場、この半券の14日観保存。
係員の指示に従わない場合退場していただきます」それをよく読んだ上で入り口に向かう。
チケットの半券を渡してから直ぐにアルコールで手指を消毒。
それとはまた別に携帯用除菌液が配られる。
館内に入ると、升席は本来4人の所1人で観戦。ソーシャルディスタンスの為だ。
椅子席も間隔があけられている。本来1万人収容の所に2500人。
天井も圧倒的に高いので三密の心配なし。取り組みの合間には「マスクの着用をお願いします」と、
決まり手や懸賞を読み上げる「呼び出し」がアナウンス。
加えて、席の近くに「マスク着用をお願いします」とのカードを持った係員が巡回する。
実際、私のそばで、3分ほどマスクをはずしていた70代の女性に、
体格の良い「日本相撲協会」のジャンパーを着た係員2人がやって来た。
二人とも笑顔、一人は新しいマスクの入った箱を持っている。
そして、女性にマスク着用をお願いした。入り口でマスクチェックは受けているので、
たまたまはずしていただけなのだろうが協会の徹底ぶりは見事だった。
国技館にくると「相撲は神事から生まれた」という思いに浸れる。
館内に響く「拍子木」の音、力士を読み上げる呼び出しの声、そして行司の所作。
行司の装束がライトに照らされ、同じ土俵には髷を結った廻し一つの力士が四股を踏む。
其処はとても令和とは思えない空間だ。
国技館には、テレビではじっくりは見せられない「その他」の感動が沢山ある。
現場で体験すると、「我々が見ているテレビの映像は、ある空間のほんの一部を届けているに過ぎない。」
この思いを痛感する。それは、「自分の見たいところ」と違うかもしれない。
力士が「命をかけて」ぶつかる土俵をこの目で見て、この耳で聴きながら、
1日も早く「普段」に戻るために私達は何をすればよいのか、再度考える機会になった。
これからも色々なところに出掛けてみよう。注意をしながら。