寺島尚正 今日の絵日記
2020年6月29日 2代目ご苦労様!
東京都は、28日、都内で緊急事態宣言が解除されたあとでは最も多い60人が
新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表した。
経済を回し始めたのだから、ある程度は覚悟していたことではあるが、
私達にこのウイルスに対して免疫がないことを改めて証明している。
新型コロナウイルス感染拡大は、文化放送近くでも多大な影響を与えている。
文化放送のあるJR浜松町駅から歩いて7分の所に竹芝埠頭がある。
竹芝埠頭は隅田川の河口部にある埠頭。
この埠頭は北東に向かって465メートルの岸壁があり、3つのバースが設けられている。
それぞれのバースは5000トン級の船に対応している。
竹芝埠頭からは東海汽船の神津島・八丈島行きや小笠原海運の父島行き、
夏の東京湾の風物詩として運航する「東京湾納涼船」や
船上結婚式も行われる「東京ヴァンテアンクルーズ」などの遊覧船が出航するのでおなじみだ。
その「東京湾納涼船」、今年の運航はすでに中止が決定している。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、
東海汽船の主航路である伊豆諸島への定期航路を維持するために、
安全性確保を最優先した上で決定したという。
今年は、7月1日から9月22日まで運航する予定だった。
調べてみると東京湾納涼船は1950年から60年以上続いており、
私が生まれる前からの運航と知り大変驚いた。
私も何度か利用した。「2代目さるびあ丸」のデッキで、ビール片手に夜の潮風を味わい夏を満喫した。
来年こそは安心して楽しめる世の中になっていて欲しい。
加えて、東京ヴァンテアンクルーズは残念ながら事業を解散する。
東海汽船は、レストラン船「ヴァンテアン」を運航し、東京湾周遊のレストラン事業を運営してきたが、
「長年の償却費負担や近年の競合の激化、
船舶の老朽化による維持整備費用の増加等により厳しい経営状況」の上に
新型コロナウイルス感染拡大の影響により損失が膨らみ、継続は困難と判断し、撤退を決めた。
「ヴァンテアン」は、フランス語で数字の「21」を意味する。
21世紀を前にした1989年(平成元年)に運航開始。
それから31年、伊豆諸島近海の食材などを使ったフレンチ料理を提供し、
レインボーブリッジやお台場など東京の臨海部を周遊するコースは人気を博した。
3月上旬からレストラン船「ヴァンテアン」の運航を取りやめ、現在も船は寂しそうに停泊したままだ。
運航再開も、さよなら運航も行わずそのまま引退、船は解体予定とのことだ。
会食始め、船上結婚式で何組もの夫婦が永遠の愛を誓った舞台が・・。残念としか言いようがない。
そんな中、2代目さるびあ丸と3代目さるびあ丸が交代。
6月29日(月)に竹芝桟橋で2代目さるびあ丸を音で見送りをするという。
船内からドラの音が響き渡り、桟橋からは蛍の光で見送るのだそうだ。
アニメ映画「天気の子」に、さるびあ丸や竹芝客船ターミナルなどが何度か登場した。
27日土曜の深夜、竹芝桟橋に行ってみた。2代目さるびあ丸が横付けされていた。
其処には、20代の若いカップルやグループが、船をバックに記念撮影をしていた。
レインボーブリッジが遠くに見える。ライトアップの色は「青」。
サルビアは、ラテン語の健康、安全を語源としているという。
今はまさに世界が健康、安全を求めている。
「もう、要請や発表に一喜一憂したり、誰かに責任を押し付けるだけでなく、
1人1人が、氾濫する情報に流されず、すべきことを冷静にこなし、
家族や仲間の健康と安全を守っていくしかないな」退役する船を眺めながら、そう感じた。
海からの湿った風が私の頬を撫でた。
「吹いている風がまったく同じでも、ある船は東へ行き、ある船は西へ行く。
進路を決めるのは風ではない、帆の向きである。
人生の航海でその行く末を決めるのは、凪でもなければ、嵐でもない、
心の持ち方である。」ウィルコックス