寺島尚正 今日の絵日記
2020年5月11日 母の月
新型コロナウイルス感染拡大に伴い今月末まで延長された緊急事態宣言。
西村経済再生担当大臣は、今週14日をめどに専門家会議を開き、
期限を待たず緊急事態宣言の解除を検討するとした。
人の命も大切なら、その命を繋ぐ経済も大事。
感染再拡大に注意しつつ、以前の生活状態になるべく早く戻さねばならない。
そんな話が全国から聞こえて来るのだ。
新型コロナウイルス感染拡大による観光客激減の影響が様々な形で表れている。
例えば、沖縄県内でほとんどの土産物店、観光施設が休業しているため、
観光土産向けの製品の販売が激減し、
製造メーカーから「4月の売り上げは前年の1割しかない」などの悲鳴が上がっている。
沖縄観光コンベンションビューローは3~5月の観光客が150万人減少し、
観光消費額の損失は1千億円になると試算した。
深刻なのは賞味期限のある食品で、大量の在庫が廃棄される危機に直面している。
「新型コロナの影響により50%OFF」。
沖縄土産の定番「元祖紅いもタルト」は、在庫が山のように積まれ、
工場の生産ラインも止まり、再開のめどは立っていない。
紅芋タルトの賞味期限は1カ月。ちんすこうも3カ月程度。
廃棄処分になる前に大量の在庫を売らなくてはいけないため、17日から大幅割引して販売。
販売店舗を持たない事業者はさらに深刻。
ジーマーミ豆腐やラフテー(豚の角煮)などの加工食品製造会社は、
休業した土産品店からの返品が相当数に上っている。
また、今帰仁村名産のスイカが収穫のピークを迎えているが、
新型コロナウイルスの影響で需要が減り、在庫が大量に発生している。
例年の3倍の30トンが倉庫に眠っている。
理由は、新型コロナの影響でホテルや観光拠点施設が休業、外食やイベントの機会が減ったこと。
今年は病気が少なく、大玉で上質なスイカがそろった。
しかし価格は、昨年1キロ250円ほどだったが今年は180円と、30%近く下落。
緊急事態宣言が延長され、需要が伸びる見通しは立たない。
農家からは「この先、収入がどうなるのか」と不安な声も上がる。
賞味期限は約2週間で、倉庫や冷蔵庫に置ける時間も限られる。
「今帰仁すいか」組合は「このままだと畑に捨てるしかない。いかにロスを少なくしていくか考えなければならない」
と語った。
一方、北海道では今、酪農に難題が降りかかっている。
難題とは、全国的に牛乳や乳製品の消費が急激に落ち込んでいること。
大きな理由は2つ。いずれも新型コロナウイルスが関連している。
1つは、「小中学校の臨時休校」。休校に伴って、全国で給食の牛乳消費がなくなった。
2つめは、「外出の自粛」。外食の需要が激減することで、業務用の牛乳や乳製品の需要も減っている。
また、北海道のお土産やお菓子には生クリームがふんだんに使われていて、
外国人観光客の激減でこうした商品の需要も減っている。
酪農は北海道の農業産出額でみると、全体の4割を占める最大の部門で重要な存在だ。
このご時世、私達が買うのにも限界がある。地元の人達がどこまで支えられるかだ。政府や自治体には、
あらゆるものが力尽きぬよう、更に急いで取り組んでいただきたいと強く願う。