寺島尚正 今日の絵日記
2020年3月30日 桜の季節、冬帽子
2020年3月最後の日曜、東京は冬に逆走した。
寒気の影響で関東甲信の広い範囲で雪が降り、東京の都心で1センチの積雪を観測。
3月下旬以降に都心で1センチ以上の積雪を観測するのは1988年以来32年ぶりだ。
東京・浜松町では、朝9時前から雨が雪に変わり、一時は吹雪状態。
それでも積雪には至らず、午後2時頃雨に戻った。
雨も小降りとなり、新聞を買いに外に出てみた。近くのサクラに雪はない。
今年、東京のサクラは、3月14日、雪が降る中、全国のトップを切って開花。
雪の日に開花するのは統計開始以来初めてだそうで、3月22日に満開となり、
その1週間後に雪、雪に縁があった。
樹々の葉や道路に雪は積もっていない反面、車の屋根には白い帽子が残っている。
その雪色を見つけて、なぜか心が和んだ。
考えてみれば、このところ、新型コロナウイルス感染症のニュースをテレビなどで見るにつけ、
黄色地に赤い「コロナ」の写真にストレスを感じていた。
これを記している夕方に、都内で1日にして最多の68人が、
新型コロナウイルスに感染していることが確認されたとの速報。
いつ自分も感染するかわからない毎日。
自分が罹患しても死に至ることはないだろうが、
「自覚のないまま他に感染を広げてしまったら‥」という不安が絶えずある。
湿度が低く少し喉がカサカサを覚えても「もしかしたら」と心配する。
スーパーに行って見つける、赤字に黄色の「半額」シールには、あんなにワクワクするのに。
雪を見ながら、美輪明宏さんの言葉を思い出した。
「白の白さを際立たせるには、その白の傍らに黒い色のものを置けばよいのです」
黒は苦労。苦労したことが多く、苦しみの深さが深いほど、やがて幸せが訪れたとき、
それが大きな幸福として心に刻まれるはず。
全世界が経験しているこの困難の向こうには、どんな幸せが待っているのだろう。
そうだ、前を向いて行こう。
サクラの花びらが風に舞った。