寺島尚正 今日の絵日記
2020年3月9日 何時もの春
新型コロナウイルスによる感染が拡大している。
ニュースでは見聞きするがどうすればよいのか。
不安が広がっているのも事実。
あらためて新型コロナウイルスの特徴や予防策について
公衆衛生の専門家のアドバイスを簡単に纏めて記しておこう。
初めに新型コロナウイルスはどのくらい恐れればよいのかについて。
日常的に感染するコロナウイルスは4種類。加えて2つが、
2002年に発生した重症急性呼吸器症候群・SARSと
2012年以降に流行した中東呼吸器症候群・MERS。
それぞれ致死率は9・6%と34・4%と非常に高かった。
一方、中国の見解によれば、今回の新型は致死率が2~3%と低いとされる。
日本では軽い症状で済む人が8割位、
重症患者でも治って退院する人がいることが明らかになっていて、
さらに低くなると見られている。
ただし高齢者や糖尿病など持病のある人は特に注意が必要だ。
厄介なのは、潜伏期間が少し長めで、感染していることを見つけにくいこと。
他の病気との区別が難しいし、
最初に出る症状はこのウイルスに特有のものではないので、
あまりはっきりしないうちに人にうつしてしまう可能性もある。
続いて、感染しないためにはどうすればよいか。
先ず咳エチケットが大事だという。マスクだけに限らず、
咳をする時はハンカチやティッシュで代用しても効果がある。小まめな手洗いも必要。
日常生活では不要不急の外出は避けたい。
密閉された狭い空間で不特定多数の人が集まる場所は注意すべき。
感染したかなと思ったらについて効果的な薬は、現時点ではない。
抗HIV薬の治験が始まっていると言われるが、現段階では直接に有効な薬はまだない。
開発するには時間がかかる。検査で陽性とわかれば入院で症状に合わせた療法となるが、
日本では安静にしていれば快方に向かうケースが多い。
ただし、効果的な薬がないので自分の免疫力で治すしかない。
日常生活の健康管理を徹底し、規則正しい生活を送ることが大切だ。
一方で、厚労省の出した受診の目安が誤解を招いるという。
37.5度以上の熱が出たら4日間必ず待たなければならないと考えている人がいるが。
そうではなく、具合が悪ければ早く行った方がいい。
高齢者や持病のある人は2日以上となっていても、
症状が強ければ帰国者・接触者相談センターなどにすぐ相談するのはもちろんいい。
ほかの重症な病気のサインかもしれないからだ。
例えば、健康な成人でも39度や40度出たら、受診した方がいい。
普段の医療と同じ。様子をみていても、
咳をし過ぎて吐くとか熱が39度以上になれば、受診すべきなのだ。
ところで、一定数の感染者が出た時、ほとんどの人は治るのだから、
感染を食い止めることに大きな力を割かなくてもいいのではという考え方もある。
これに対して専門家は、インフルエンザ並みに1000万人かかってしまうと、
致死率が低くても、死者が10万~20万人出ることになる。これは避けたい。
そこで、今最も力を割かなければいけないことは、重症者を何とかすること。
では、重症者を何とかするにはどうしたらいいのか?
医療体制が崩壊しないようにする必要がある。
感染を食い止めることに必死になる対策は、いつか切り替えなくてはならない。
難しいのは、その切り替えの時期をいつにするのか。
専門家会議でも意見が分かれるという。
今はまだ国内で爆発的に増えている状況ではない。
北海道などのクラスター・小規模な感染集団の特徴を分析し、
クラスターを生みそうな若者たちに注意を呼びかけ、
閉鎖的な空間での交流はできるだけ避けてほしいと呼びかけるべきだという合意に至ったそうだ。
今はまだ諦める時期ではないということ。
ただ、いつか諦める時期は決めなくてはいけないそうだ。
軽い人がほとんどで、症状がない人からもうつるかもしれない。
それを全部明らかにしようとすると、日本の人口を全て検査して、
一度検査してもわからないこともあるから1日おきに検査を繰り返す、というのは、
物理的にも費用の面でも無理な話。
軽い人は普通に診て、重い人はなるべく早く見極める。その対策への切り替えをいつにするのか、
まだ意見が分かれており、議論が進められているそうだ。
また、インフルエンザよりも肺炎になりやすいという特徴がある。
病気として厄介な部分は、ストレートに肺炎になりやすいこと。
SARSのような急性呼吸器不全を起こしている。
高齢者などのインフルエンザ肺炎とは重症のなり方が違うようだ。
そういった特徴からも、重症例を早く発見することが必要なのだ。
では重症になっても早めに手を打てば必ず治るのか?
早期診断と早期治療が有利になることは言うまでもない。
少なくとも3、4日ぐらいで自然に治る人が8割以上いる。
治る人はそのまま家で様子をみて、それ以上続く、
あるいはそれ以内で病状に変化があれば病院で診ることが早期発見のための道筋なのだ。
街を歩くと、そこここに春が訪れている。
東京のソメイヨシノの開花予想日は1週間後3月15日。
桜には1日でも長く咲いていて欲しいが、新型コロナウイルスには1分でも早く姿を消してほしいものだ。