寺島尚正 今日の絵日記
2020年2月24日 我が宿場 大名気分 大鍋屋
東日本大震災から今年で9年。
毎年訪れている宮城県・気仙沼市に先週金曜からお邪魔した。
震災に関しては後日お届けするとして今回は、
地元テレビで放送されていた宮城県のニュースについて記しておこう。
仙台放送だったと記憶している。
宮城県・大河原町の小学校の話題だった。
大河原町は
「海から山1つ越えたところに位置し、東日本大震災では津波被害もなかった。
仙台駅まで東北本線で35分であり、
花見シーズンには有名な千本桜があり春になると観光客で賑わう。
小学校は教育に熱心で全国平均を超えるテスト結果などで話題になっている」とある。
その宮城県大河原町の小学校での行事が映像で流れた。
「20歳の半分となる10歳の子供たちが将来の夢を発表し、
保護者へ感謝の気持ちを伝える「2分の1成人式」が行われました。
「2分の1成人式」は、大河原町立大河原南小学校が、
毎年この時期に行っているものです。
21日は今年度10歳になる4年生の児童46人と、
その保護者が参加しました。
式では、校長から「2分の1成人証書」を受け取った後、
保護者が見守る中、児童たちが将来の夢を大きな声で発表しました。
「僕の将来の夢は警察官になることです。
警察官になって困っている人を助けたいと思い、警察官を目指すようになりました」
「私の将来の夢はパティシエになることです。
パティシエになって私の作ったお菓子で、
みんなを笑顔にしたいと思い、パティシエを選びました」
そして最後には、子供たちが保護者の元へ行き、
それぞれの気持ちをつづった手紙を交換。
「いっぱいご飯を食べさせてくれて、温かいお風呂に入らせてくれてありがとう。
頑張って育ててくれてありがとう。次は僕が恩返しをする番です。僕を産んでくれてありがとう」
「私を産んでくれて本当に感謝します。10年間、大切に育てていただきありがとうございます」
「すごく成長が感じられました。10年はあっという間なので」
普段はなかなか言えない感謝の気持ちがつづられた手紙に、
それぞれの親子は、家族の絆を一層深めていました。
子どもたちが涙を拭いながら挨拶するシーンにはグッとくるものがあった。
仕事柄、反対意見も気になった。
調べてみると、やはり2分の1成人式をやめるべきという主張もある。
「やめるべき理由については5つ。
1. 苦しむ子どもがいる
何といってもこの行事によって苦しむ子どもが確実にいる。
例えば、片親に育てられている子ども
施設で生活している子ども、虐待を受けている子ども
親が仕事等で式に来られない子ども、親の事情で親から手紙を貰えない子ども
公の場でありがとう、を言いたくない子ども
このような子どもたちが、いらぬ苦痛を受ける。
これらの子どもたちは少数かもしれない。
しかし、恵まれない家庭環境を強く意識することになったり、
晒されたくない心情を公開することになったり、の経験を子どもにさせる可能性がある。
2. 親を喜ばすためのイベントはいらない
3. 学校は子どもたちが勉強をすべきところ
4. 関係者全員が余計な負担を負う
5. そもそも公教育がやることではない
やめることでの子どもたちのデメリットはほぼないので、即刻やめるべき。」
以上だ。
大河原小学校は、様々な意見を考慮した上で毎年行っていると推察される。
何にでも、様々な意見がある。何かをやれば、文句は出るし、
何かをやめても文句を言われる。
何もしなくても文句を言われることだってある。
「う~ん、難しい」
気仙沼の定宿「大鍋屋」で奇跡の地酒「蒼天伝」を飲みながら思わず唸った。
賛成反対どちらも「子どものため」のはずなのだ。
気仙沼で見たニュースが、私に課題を出してくれた。
世の中は、新型コロナウイルスに振りまわされている。
まだまだ分からないことが多く、様々な意見が交錯中だ。
対策が遅すぎるという批判だけでなく、
当局と共に「命を守る」という大切なことから目を離してはいけない。
ここに国の将来がかかっているといっても過言ではないのだから。