寺島尚正 今日の絵日記
2019年11月25日 行列も勉強の内
今回は、恥を忍んで、自分の無知さをさらけ出すことにする。
土曜から河口湖に仕事で行った。
午後3時頃河口湖駅に着くと、辺りは雨。
その雨の中、大勢の外国人観光客が、駅前ロータリーにある
周辺観光地行きのバス停に列を作っている。
その数200人。日本人は2割で、残りの9割がアジア人観光客だ。
今日は徒歩20分位のビジネスホテルに予約をしていた。
晴れていれば歩こうと考えていたが、細かい雨が間断なく落ちて来る。
傘を差しても、荷物が濡れそうだ。
ここはタクシー、乗り場に進んだ。
そこにも20人位の外国人が並んでいる。
欧米人が2人。他は、会話から察するに台湾、香港、タイ、中国と推察。
タクシーは都会と違って台数がまばら。
5分から8分に1台が駅に戻ってくる感じだ。
郊外駅前の終電前のタクシー乗り場の様。
河口湖駅前のタクシー乗り場にある屋根は5人も入ればいっぱいで
並んでいる他の15人は傘をさして自分の番を待っている。
私の前に並んでいるのは60代の夫婦と20代の息子合わせて
3人家族。会話を聴くと香港からの様だ。
少しぽっちゃりの息子が暖かそうなコートジャケットを着ている。
ふとロゴが目に入った。
「Superdry 」
「日本じゃビールが浮かぶぞ。アウトドアの衣類で、すぐ乾く素材なのか・・」
次の文字を見て驚愕した。
「極度乾燥(しなさい)」とある。
極度乾燥はわかる。それに平仮名の「しなさい」がついているのだ。
これは、浅草などで売っている漢字の意味は二の次という「漢字Tシャツ」の
部類だ。
「うわあ、よりによって、日本に着てきたか」
可哀そうにも感じた。
その家族がタクシーに乗り、私がタクシーに乗れたのは並び始めて30分。
乗車してから、6~7分でホテルに着いた。
そこにも行列が待っていた。
丁度チェックインの時間で、海外団体客がこれまた20人位並んでいる。
安心したのは、郷に入れば郷に従えで、横入りする客はいない。
たどたどしい英語で受付係と手続きをしているので1組に要する時間も
予想以上に長い。
「河口湖界隈は今や海外客がメインになっているのだなあ」
驚きながら列に並んだ。
私の前にいるのは、20代半ばの女性グループ3人。
楽しそうに中国語だろうか会話している。
声は大きめだが、意味が分からないから、不快ではない。
その女性のデイパックに目をやると
「Superdry」の文字が!
「おいおい、またビールか!?」
ということは・・・
ありました!「極度乾燥しなさい」
「これ香港で流行っているのかなあ。」
まだまだ自分の番まで時間がある。
スマートフォンで「極度乾燥しなさい」を検索してみると、眩暈がした。
な~んてこった!そこにはこんな説明があった。
「数年前より、「Superdry極度乾燥(しなさい)」というイギリス発の
ファッションブランドが世界的に大流行していることが話題になっている。
「極度乾燥」に首を傾げ、「しなさい」に目を疑い、
それにカッコが付いてることで眉間にしわが寄る。
我々が日本で人生を送るうえで「極度乾燥」という文字列を使うこと自体が
皆無だろう。しかし、ニューヨークの街を歩いていると、
かなりの頻度でこのロゴのついた服を着ている外国人とすれ違うのだ。
公式ウェブサイトによると、この「Superdry極度乾燥(しなさい)」は
2003年に立ち上げられたファッションブランドで、発祥国はなんとイギリス。
インスピレーションを元に、この名がつけられたという。
イギリスではロンドンを中心に約100店舗展開されており、
2007年にはサッカー選手デビッド・ベッカムが着用したジャケットが
7万着も売れたというから、人気は本物。」
「え~!?知らないの私だけ?私は寺島でなく浦島太郎だったのか」
恐れ入りました。改めて自分の無知さと同時にスマホの有難味を感じつつ
この言葉が沁みた。
自分自身が無知であることを知っている人間は、
自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。
ソクラテス