寺島尚正 今日の絵日記
2019年8月19日 純真、無垢
「今年も我が家で白い百合が咲いた。
八王子に越して来て20年。
初めは庭にたった一本だった百合が
今は家を囲むように14本・・」
去年8月13日、この書き出しで絵日記を記した。
あれから1年。
我が「猫の額」程の庭に育ったユリは、21本に増えた。
単純計算すると、この1年で1.5倍の増殖である。
中には私の身長を超える高さで、白いラッパ型の花が開いている。
14本の去年は綺麗だった。
「こんなに繁殖してくれて‥」
正直嬉しかった。
ところで、去年はテッポウユリだと記した。
しかし、どうも高砂百合かシンテッポウユリのようだ。
その話は今回置いておく。
このユリ、一カ所にまとまって咲いているわけではない。
南に面している庭で4本。
西と東の隣家との細い通路で3本づつ。
北側の通路で4本。
今年は南に4本変わらず。
東西通路合わせて10本。
そして北に7本。
増えて分かったことがある。
夜、この背の高い、てっぺんに白い大きな花を見ると不気味なのだ。
家族からは「せめて背の高いユリを何とかしてほしい」とクレームが出た。
正直この繁殖力には驚いた。
調べてみると、
「タカサゴユリやシンテッポウユリは種子の繁殖力が警戒されている外来種。
種子の繁殖力が他のユリより強いことが警戒されている。
タカサゴユリは自家受粉して種を風に載せ、増やしていき、
花が咲くまでの期間も約一年と短く膨大な繁殖力で増えていくと出ている。」
白く綺麗なユリのこと、初めは良いのだが、
現にテッポウユリとの自然の交配種などが多々出来てしまい
ヤマユリなどの日本古来のユリがかなり減っている中で
この繁殖力でこのタカサゴユリやシンテッポウユリが増えていったら
どうなるのだろう。
国立環境研究所の侵入生物データベースを見た。
そこには
「近年各地で繁茂しているが花がきれいなためなかなか駆除されない.
少なくとも外来種であることを周知する必要がある」
とあった。
水の中では「ブラックバス」はじめ、外来種が警戒され始めて久しい。
タンポポでも、日本タンポポが西洋タンポポに侵略され
現在日本で確認されるタンポポの約8割はセイヨウタンポポ、
もしくは在来種との交雑種と言われていて、セイヨウタンポポは
日本の侵略的外来種ワースト100のひとつに数えられるほど。
我が「猫の額」程の庭にもそんな問題が発生していたのには驚いた。
もっとも、庭に初めて姿を現したのがテッポウユリだったのだが。
ユリの花言葉は「純粋」「無垢」。
実際には、手放しで喜んでいられない状況があることを、この夏知った。