寺島尚正 今日の絵日記
2019年5月13日 プラタナス
気が付けば、二十四節気も立夏を過ぎた。
21日の小満に向かっている。
季節は、陽気が良くなって、
万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始め
暑さも加わり、山野の草木が花を実につけ換え始める頃だ。
「うちも交換しなければ」
そう思いつつ大型連休を過ぎてしまったのは「タイヤ」
雪対応の冬物から普段のタイヤに履き替える作業だ。
漸く日曜に近所のガソリンスタンドでお願いした。
朝8時。オープンしたてのスタンンドに着いた。
交換には小一時間かかるため、待合室で新聞を読む。
今回の担当は、20代前半の女性。
「宇多田ヒカル」と「じゃりン子チエ」を足して2で割り
赤のつなぎを着こなした感じの愛らしいタイプだ。
冬と春、シーズンごとに同じ給油所でお願いしており
もう5回目くらいだろうか。
エンジンオイルやミッションオイルなども
先方の説明を聞き、納得したら換えてもらっている。
待合室に常備してあるフルーツキャンディーアップル味を
頂いていると、チエちゃんが近くに来た。
「寺島さん、ちょっと作業場までおいでいただけますか?」
毎回呼ばれる。
初回は、重大なトラブルが発生したのかと身構えたが
早い話、各種オイルやエアコン関係の交換、
はてはタイヤの買い替えを勧められるのだ。
先方は、なるべく早めの交換を勧めるし
こちらはぎりぎりでの交換を希望する。
今回も同じだった。
「エンジンオイルが減っているし、汚れている」
これは納得。交換することにした。
「ATFも交換時期です。検査機はOKと言っていますが
前に換えてから2年たっています。良好なうちに換えておくことを
お勧めします!」
チエちゃんが背筋を伸ばしして主張してくる。
今はいずこも進歩していて
ガソリンスタンドでも、オイルを分析し
検査機が正常か換え時かを音声で知らせてくれるシステムがある。
数値やオイルの汚れた色など見せられてもわからないが
機械の音声を聞かせれば私など素人は納得がいきやすい。
チエちゃんが検査機のボタンを押した
「数値は正常です。」
合成音が検査場に響く。
「正常です、と言っていますよね?」
「はい、今は正常です。でも、寺島さん、次のタイヤ交換の時期までに
オイル変えるチャンスありますか?」
データは何でもお見通しだ。チエちゃんの声は穏やかだった。
しかしその穏やかさの向こうにプロを感じた。
「わかりました、換えましょう。その代わり、これ全部換えたら
ウン万円ですよね!?もうちょっと何とかなりませんか?」
こんな折衝もあり、少し頑張ってもらった。
オイル交換などもした我が車。
最後にエンジンルームを開け、換えた時期がわかるシールを確認。
そこには「R1.5.12」とあった。
「令和はRなのだなあ」
「はい、平成の時は、Hとも入れずに、ただ数字を書いていました。
元号が変わったばかりの時は、31と書いてしまって
3をRに加工するのが大変でした~」
チエちゃんの声は若い女性に戻る。
街道の鈴懸の木が、花をつけていた。
鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら
僕たちの関係はどう変わってしまうのか、
僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの
はて、AKBのこの歌は、どんなメロディーだったか・・。