寺島尚正 今日の絵日記
2019年4月1日 今年も咲いたよ
こちらを記しているのは、3月31日の夜である。
世の中は、4月1日に発表される「新元号」で持ち切りだ。
改元まで1か月。
「平成」あなたにとって、どんな時代だったろうか。
私が生まれたのは昭和33年。
両親と姉に加え祖母が一つ屋根の下に暮らし
そこに私が生まれた。
時が経ち、祖母の具合が悪くなり
祖母は娘(我が父の妹)の家に移った。
そしてある冬の日に成仏。
父のあんなに悲しそうな顔を初めてみた。
人の死を身近で経験した。
昭和56年、社会人となった。
漸くアナウンサーとして落ち着いた夏の日、
大正生まれの父が突然逝った。
昭和63年のことだった。
悲しみが突き抜けると、涙は出てこない。
通夜、告別式と済んで、初七日の法要の際
ご住職の説法でやっと落涙した。
翌年、天皇崩御により「平成」となる。
平成3年娘が生まれ、8年に息子が誕生した。
時は流れ、娘が就職し
平成30年2月、昭和生まれの母が父のもとに旅立った。
涙より、親を見送るという責任感からの解放だろうか、
悲しみと同時に安堵の気持ちが強かった。
同年、息子が社会人、私は定年を迎えた。
時間と共にそれぞれの人生が進んでいく。
至極当然ではあるのだが
出来事の1つ1つに、その家族、その人でしか語れない、
大切な物語が存在するのだ。
見上げれば、近所の桜が満開。
先週はたった1輪しか開いていなかったのに。
曇天のグレーで薄いピンクの鮮やかさは今一つ。
それでも、桜は咲いている。桜が微笑んでいる。
花は語り掛けてくる、「次の時代笑顔でいようね」と。
昭和、平成そして新たな時代。
あと1月経てば、東京のソメイヨシノは葉桜になる。
時は流れている。
喜びも悲しみもすべてを飲み込んだ川。
出会いと別れを繰り返す。
これまでも、これからも。
248番目の元号がどんなものであろうとも
自然な笑顔でいられる世の中であって欲しい。
私は何ができるだろう・・。
桜を見上げた。
花達の向こう、雲の切れ間にほんの少し青空が見えた。