寺島尚正 今日の絵日記
2019年2月25日 空を見上げて
ベランダの沈丁花が先週咲始め、心が和んだ。
あれからわずか1週間
あっという間に、小さな白い笑顔が幾つも顔をのぞかせた。
毎年この季節、草花の瞬発力には驚嘆させられる。
空を眺めた。
2月22日午前7時29分
2014年12月13日に旅立った「はやぶさ2」が
目的地「小惑星リュウグウ」に着地した。
さらに、石や砂などの試料を採取できた可能性が高いという。
3億4000万キロ、3年半という長い時間をかけて
去年6月27日に到着。
着いてみて、リュウグウの地表面は岩だらけであることがわかった。
対策を練り、直径6メートルというピンポイントの地点に着地した。
当初直径100メートルの範囲に降りる想定だったことから
JAXAは「甲子園球場のどこかに降りればよかったが
マウンドに降りなければならなくなった」と例えた。
地球との距離3億4000万キロどれほど離れているか実感が湧かない。
しかし、通信に往復約40分かかると聞くと
大変な距離だとわかる。
そのため、降下の最終段階では
機体を自動制御に切り替え、探査機の着地では
世界に例がない精度で着地に成功したのだ。
人気テレビ番組「はじめてのおつかい」が浮かんだ。
小さい子供がちゃんとおつかいが出来るか、
私たちが親の心境ではらはら見守る内容だ。
番組はスタッフが陰から撮影しているので
何か起きそうになったら助けることが出来る。
だから私達も安心して見ていられる。
しかし、はやぶさ2は通信に往復40分。
何かあったとしても、それは事後のことなのだ。
JAXA関係者の心労が窺い知れる。
ところで、はやぶさ2はリュウグウまで一直線に飛んだわけではない。
打ち上げ後、約32億キロメートルの旅をしているのである。
その数字を聞くと耐久性と正確性に感動する。
さて、はやぶさ2のミッションは何か。
小惑星は、宇宙空間を漂うちりが集まった小天体が
衝突や合体を繰り返してできた物。
小惑星は熱による変化が小さく
岩石や砂は太陽系誕生時のままの状態が
比較的保たれている。
いわば、化石のような存在の為。砂などを調べれば
太陽系の進化の手がかりを得られるという。
リュウグウには生命の材料となる水や有機物があるとみられ
太陽系や生命の起源の解明に近づくと期待されている。
今後は7月まで人工的にクレーターを作り
より内部の試料を採取。
11月から12月に地球に向け出発し
来年12月に、試料が入ったカプセルを地球に投下、
その役目を終える。
ここまでは上々だ。
これも初代はやぶさの経験、言い換えれば失敗を洗い出し
官民チームが知恵を絞った賜物だ。
その時は失敗だったことが将来の成功へつながる
そんな前向きな気持ちにしてくれる出来事だ。
再び、6年付き合っている沈丁花に目をやった。
この花も様々な経験を積み
決して日当たりが良いとは言えないベランダで
今年も花を咲かせてくれたのかしら。
何時もよりたっぷり水を注いだ。
それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことが
わかったのだから成功なのだよ
トーマス・エジソン
諸君は必ず失敗する。ずいぶん失敗する。
成功があるかも知れませぬけれども、成功より失敗が多い。
失敗に落胆しなさるな。失敗に打ち勝たなければならぬ。
たびたび失敗すると、そこで大切な経験を得る。
この経験によって、
もって成功を期さなければならぬのである
大隈重信