寺島尚正 今日の絵日記
2018年9月25日 小さな事の積み重ね
9月いっぱいで、定年を迎える。
社員として、最終週を迎えた。
37年と半年。
我が会社員生活は、
過ぎてみれば、多くの経験を積み長かったような気もするし
放送という緊張感からか、あっという間だった思いも強い。
確かなことは
1981年4月1日に文化放送に入社して以来、
様々な方に育てられた人生だったという事。
さだまさしさんが、小説「ラストレター」で描いてくださった通り
私には何もなかった。
小心者の私に、
アナウンサーの先輩、吉田光雄さんがアドバイスをくれた。
「寺島らしいしゃべりをすればいい」
自分が全く分からなかった。
光雄さんの瞳に縋った。
光雄さんは「5つの『K』を大切にしなさい」と言った。
スポーツ中継に携わった。
戸谷真人アナウンサーの背中を追いかけ、力強い実況を目指した。
話にならなかった。
しかし天は「人」という財産を
1人また1人と恵んでくれた。
大相撲・横綱大乃国関、
「今の稽古は3年先の為」という名言を体現してくれた。
名投手・別所毅彦さんは、悩む私に
「良いピッチャーの条件は、スピード・コントロール、そして記憶力。
打たれたとき、君の場合は、失敗した時の反省をしっかりするんだ。
同じ過ちをしない、これが大切なんだよ」と教えてくれた。
霊能者の宜保愛子さんからは「今の命は先祖からのバトンタッチなのよ
あなたは1人でこの世に生まれたわけではないの。皆が応援しているわ。
幸不幸なんて言っていたらダメ。貴方のおばあさんは油揚げが好きよ!」
孤独感から解放してくれた。
漫才の内海好江師匠は、毎年3月10日東京大空襲の経験を涙ながらに語ってくれた。
「戦争は絶対ダメ!それを伝えるために生きている」と。
歌手・氷川きよしさんは
「歌は人を幸せにします。皆さんの為に只管歌います」
直向きさを教えてくれる。
そして、浜美枝さんからは番組を通して、
「農業の大切さ、民芸の素晴らしさ、人生は自分で道を決めるもの」
さらに「真に美しい物とは何か」を教えてくださる。
加えて大勢の方が、私に力をくれている。
吉田光雄さんが教えてくれた「5つのK」
「向上心・好奇心・観察力・行動力、そして謙虚さ」
この37年間で
「屈しない・挫けない」を自分で加えた。
そして10月からは、「貢献心」を加え
「8つのK」を胸に励んでいこう。
結びに、私を励ます言葉を記しておきたい。
夢中で日を過ごしておれば、
いつかはわかる時が来る。
坂本龍馬
自分には自分に与えられた道がある。
天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、
他の人には歩めない。
自分だけしか歩めない、
二度と歩めぬかけがえのないこの道。
いま立っているこの道、
いま歩んでいるこの道、
とにかくこの道を休まず歩むことである。
自分だけしか歩めない大事な道ではないか。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
松下幸之助(抜粋)
10月、私のアナウンサー第2章が始まる。