寺島尚正 今日の絵日記
2017年7月18日 涼
7月半ばの土曜朝、八王子近所の自然公園を散策した。
清々しいウグイスの囀りに加え
蝉がやや遠慮がちに鳴き始めた。
現在山の中は「深緑」が基調。
加えてこの時期、ヤマユリの「白」が
視覚による涼をプレゼントしてくれている。
ふと足元に目をやった。
歩道に茶色の小さな粒の集合体を発見。
凝視すると1粒2ミリ位の物が動いている。
アリだ。
これまでは「ああ、アリか」で済んでいたが
今ではぎょっとする。
環境省が6月13日に「神戸港を中継したコンテナから、
強い毒を持つ南米原産の特定外来生物『ヒアリ』が
日本国内で初めて見つかった」と発表。
その後、大阪、名古屋、横浜、東京・大井ふ頭でも発見。
更に愛知県春日井市、そして茨城県常陸太田市の工業団地など
内陸部でも見つかっている。
いずれも、中国等から運ばれたコンテナに紛れ込み
女王アリ、卵、蛹などの存在で
日本でも繁殖している可能性は否定できない。
さらに女王アリが飛んで新たな場所での繁殖が始まるようだ。
ヒアリは、公園の芝生や草原、
それに砂地の公園で巣を作る性質を持っている。
また公園など開放的な場所を好むという。
また巣は、土が盛り上がったようなあり塚を作る習性があるようだ。
海に囲まれた島国の日本は、外来生物の侵入が比較的抑えられてきた。
しかし国境を越えた人や物の移動が活発になるにつれ、
外来生物が国内に多く侵入する危険性が高まりつつある。
環境省は、人や農作物に害を与えたり生態系に影響を与えたりする
外来生物について、12年前から「特定外来生物」に指定し、
対策を行ってきた。
これまでに132種が指定されている。
今回見つかったヒアリについても、
10年以上前から特定外来生物に指定し、
国内への侵入を警戒していた。
心配なのは、外来生物として入ってきたセアカゴケグモは、
その後、国内で繁殖し、全国的に定着してしまった例があること。
様々な対処の仕方が言われているが
夏休みも近い。
子供たちが砂場で「あ!茶色いアリさんだ?」
と指で摘まむ行為はもう出来ないのだろうか。
水際で侵入を食い止められることを祈るばかりだ。