寺島尚正 今日の絵日記
2015年4月13日 下向きだけど
ソメイヨシノは、ぐんぐん北上しているようだ。
八王子の桜は、山桜がピークを過ぎた。
とはいうものの、調べてみると
野生種、自生種だけで100種程度のサクラが存在し、
固有種・交配種を含め600種以上の品種が存在するとされる。
まだまだ鑑賞できそうだ。
我が、猫額庭にも、桜がある。
丁度1年前、近所のフラワーショップを覗いた際
処分品コーナーに
「旦那さん!来年ちゃんと咲きますから!」
とアピールしている鉢があった。
高さ30センチ、幹の直径2,5センチ位。
決め手は値段。
380円。
もし咲かなくとも、諦めのつく値段だった。
日当たりの良い場所に植えた。
あれから一年。約束通り、沢山花をつけた。
「本当に沢山花をつけたね。ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして!信じてくれたおかげです!」
そんな心の中のやり取りをかわした。
ソメイヨシノより若干濃い花びらの色。
可憐といった表現が合う。
ただ、何か、物足りない。
数分後、理由がわかった。
私達が愛でる桜は、花が上から見守っている。
しかし、我が庭の桜は高さ30センチ、
私が、見下ろす形である。
だから桜は人気があるのか・・・ということが分かった。
そもそも桜というのは、サクランボの仲間。
花柄(かへい)という長い軸の先に花を付ける。
同じバラ科の植物で、例えばリンゴ、アンズ、モモなどは、
花が枝にぴたりと付いている。
それぞれの花があっちこっち好きな方向へ向いて咲く。
ところが、桜は総ての花が私たちの方に向いて咲く。
花の重みで細長い花柄が撓んで、花が下を向いて咲くのだ。
頭上で咲いている桜は一輪一輪がこちらを向いているので、
花弁と蕊(しべ)があの独特の美しさを創り出している。
ただしそれは、頭上にある、という条件が大きい。
30センチの高さでは
ミミズや蟻にはうってつけだが・・・・。
さくらんぼでも実るのであろうか。
木に問いかけたが、答えはなかった。
多くは望むまい。
薄いピンクの花が、我が庭を、明るくしてくれているのだから。