寺島尚正 今日の絵日記
2015年4月6日 サンドイッチ
都心のソメイヨシノ、開花・満開・・・
あっという間に駆け抜けていった。
日曜日の昼時、小雨の中、旧芝離宮恩賜庭園に行った。
つい先日まで入り口に掲示されていた
「桜満開です」のポスターははずされていた。
ソメイヨシノは、確かに花びらを減らしていたけれど
違った趣があった。
花冷えの園内は、雨が辺りの喧騒を引き受けて
静寂そのもの。
花びらの代わりに、葉が顔を出している。
満開の桜は、それだけで絵になる。
私は、この佇まいが好きだ。
そして、自分に問いかける。
2年前、こんな光景に出合った。
桜の花が散り始めたころ
おじいちゃんの手をぐいぐい引っ張り
小学校に入ったばかりの女の子が
桜の木の下に来た。
辺りを笑顔で見渡しながら、彼女は発した。
「わあ?、桜さんにサンドイッチにされてる?
私、美味しいかな?、桜さ?ん! もっと美味しくなるからね?」
樹に花がまだまだあり、そして、地面も淡く上品な桜色に染まっている。
上だけを見るのでなく
視界全体が春の色に包まれている。
少女は、自分を中に置き、「サンドイッチ」と表現した。
彼女は無意識のうちに、自分が成長していく思いを桜に唱えたのだろう。
桜の樹と、そこを離れた花びらの間、
私は去年よりどれだけ美味しくなっただろう・・・。
自然は、様々なことを語りかけてくれる。
受け止めるのは、私達、一人一人なのだ。