寺島尚正 今日の絵日記
2011年10月10日 秋
いよいよ秋である。
先週は咲き誇っていた彼岸花が姿を消し
金木犀も、そのオレンジ色で星形の花が
地面に積もり始めた。
となると・・・・ドングリの季節。
近所の神社に行ってみた。
こんもりと木々が茂った境内には
様々な大きさ、形の木の実が土と同化している。
知らずに踏みしめると「カリッ」という音。
去年と違うのは、台風15号で倒れ
幹を切断された株があること。
しかしそこから、きっと、「ひこばえ」が芽をだすのだろう。
「ひこばえ」とは、樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと。
太い幹に対して、孫(ひこ)に見立てて「ひこばえ(孫生え)」という。
森林伐採の後、切り株からのひこばえによって
新たな森林ができるようにすることを萌芽更新というのだそうだ。
かつての里山はこれによって維持された。
私の通った幼稚園の名は「ひこばえ幼稚園」
子供の頃は「ハエ」という響きが「蝿」を連想し
好きになれなかった。
しかし、社会人になり、ふと調べてみると・・・
聖書にも出ていることを知った。
滅亡したかに見える民族の廃跡から、
新しい生命・希望があらわれることを言いあらわすのに、
この「ひこばえ 」という言葉を使う。
そして幼児ののびゆく生命に期待をかけて言いあらわすときにも。
たまたま近所にあった幼稚園で、クリスチャンではないのだが
こんな素敵な名称の幼稚園に通えて誇りに思う。
奇しくも日曜、私の娘と私の母、つまり祖母と孫が写真を撮った。
シャッターを押しながらまさに我が家の「ひこばえ」だと感じた。
去年より年老いた母と、より女性に成長している娘。
思いも命もバトンタッチされていくのだと。