寺島尚正 今日の絵日記
2011年9月19日 哀愁
土曜日の夜、八王子駅前の西放射線通り商店街で
毎年楽しみにしている「越中八尾おわら風の舞 in 八王子」が行われた。
にわか雨もあがり、路面がキラキラ光る中、独特の世界があたりを包む。
富山県・八尾町で毎年9月1日?3日に行われている民謡行事「おわら風の盆」
胡弓や三味線、唄などで地元に伝わる民謡「越中おわら節」を演奏しながら、
かかし踊りとも呼ばれる「男踊り」、四季踊りとも呼ばれる「女踊り」を繰り広げる。
「おわら」は元禄時代に祝いとして3日間、町内総出で唄や舞をしながら練り歩いたことがその紀元だそうだ。
また、立秋から数えて210日にあたる9月初旬を「風の盆」として、
台風によって稲に被害が起こらないようにと祈って行われているとも言われる。
編み笠を深く被り
男性も女性も言葉を発さず、顔を一切露わにしない。
このミステリアスさが魅力の一つ。
他の盆踊りが「動」に対し
おわらの踊りは「静」。
さらに女性が着ている着物の淡い桃色も
儚さを醸しだしぐっとくる。
踊りもさることながら、私がついて回るのは
後方に続く「地方(じかた)」。
おわらに欠かせない役割を担っている唄と楽器で奏でるメンバーのことだ。
地方には「唄い手」「囃子」「三味線」「太鼓」「胡弓」がいる。
三味線が出を弾き、胡弓が追う。
太鼓が軽く叩かれ調子を上げると囃子が唄を誘う。
唄は甲高い声で唄い出し息継ぎなしに詞の小節をうねらせ、
唄は楽器に応え、楽器は唄に応える。
唄が終わると「合いの手」と呼ばれる楽器だけの間奏曲が奏でられる。
この視覚と聴覚が何とも言えぬ哀愁と癒しの気持ちにさせてくれる。
今年は台風12号が紀伊半島などに猛威をふるった。
台風シーズン、これ以上のこれ以上の被害が出ないことを祈りたい。
日曜日、近くの神社に。
空は高くなっていた。