寺島尚正 今日の絵日記
2010年8月23日 少年の思い出
6月に地球に帰還した探査機「はやぶさ」のカプセルを見てきた。
7年かけて小惑星「イトカワ」までを往復、60億キロに及んだはやぶさの壮大な旅。
「丸の内オアゾ」で一般公開。
テーマは『君が私たちに残してくれたもの』
初日の15日は、朝から約1800人が列を作り、入場者数は8434人に上ったという。
18日午後2時、1時間は並ぶ覚悟で行ってみた。
30メートル程の列には意外にも白髪交じりの60代男性が目に付く。
その目は少年のごとく輝いている。
最後尾で整理券を受け取った。
チラシを2種類受け取り、回転寿司の皿の速さで進んでいく。
「夏休み中の子供たちに見せたい!」
そんな主催者の意図通り、小学生も多くいる。
中にはほとんど興味の無い子供もいた。
「ねえ、ママ?、まだ見られないの??」
「○○ちゃん、みんな並んでいるでしょ!静かにしなさいっ」
「ねえ、何があるの??」
「カプセルよ!宇宙を旅してきたの」
「それみたら何食べるの??」
「○○、見てからよ」
「なんでよう!もう熱中症になる?」
屋内である。確かに外は暑いが、ここは涼しいのだ。
母親の表情から爆発を必死で堪える気を読み取った。
子供のためを思い連れてきたのに・・・親の心子知らずである。
私もきっと同じことをしていたのだろうなあ。
予想より早く、17分で入り口に。
俄か作りの選挙投票所という感じ。
電子機器、
中華なべを二つ合わせたようなカプセルなどがあわせて3つ並んでいる。
1970年、大阪万博でみたアメリカ館の『月の石』を思い出した。
「これが・・・」あのときの気持ちと同じだ。
回転寿司のスピードで展示会場を出た。
ごねていた子供が母親に言った。
「チャーハン食べたい!」
ポスターの副題が目に入った。
『はやぶさから、あきらめない強さを子供たちに伝えませんか?』
母親はある意味目的を達成したと感じた。