寺島尚正 今日の絵日記
2010年8月16日 S8
65回目の終戦記念日、八王子は猛暑日となった。
近くの公園から「油」の騒々しい声がする。
「あの日、蝉だけは元気だったのよ・・」
遠い目をして母が呟いた。
1945年8月15日、
日本は37年から戦争に突入し、
戦死者230万、民間で犠牲になった人80万
合わせて310万人の命が奪われた。
母が聴いたあの時の蝉は、何を思って鳴いていたのだろう。
アブラゼミが幼虫として土の中で過ごす歳月は長く、
平均6,7年と言われている。
殻を破って飛び出した地上での寿命はわずか2?3週間あまり。
限られた時間の中、オスはメスへのラブソングを歌いあげるという。
310万の御霊は、「平和」を合唱しているに違いない。
庭のそこここにある「殻」を手にした。
力を入れれば壊れてしまうその足は
草や木にしっかりとしがみついていた。
私達がしがみついてでも守らなければならないものは・・・。