寺島尚正 今日の絵日記
2010年2月22日 優しさの波
街を歩くと色々な驚きが待っているものだ。
先日こんな発見をした。
あなたは「階段の手摺(す)り」と聞いてどんな形を頭に浮かべるだろうか。
恐らく10人に9人が「直線の棒」と答えるはず。
その常識が覆され始めている。
取材にいった際、駅階段の手摺りで初めての形状を目にした。
「波形」だ。
初めてそれを見た感想を言おう。
「ありゃ?手摺りがくねくねしているぞ!
優しい感じだ。おしゃれともいえる。しかし駅の階段におしゃれが必要なのか・・・。
町おこしの一環か?」
実際に握ってみた。
波形の特徴は、階段に対して「縦の部分」と「平行の部分」があること。
握り心地は悪くない。それどころか、新しい感覚が心地よい。
気になり調べてみると・・・
人間工学に基づいて考えられた斬新かつ新感覚なカタチなのだそう。
人間の動きは単純に見えても、実は非常に複雑。
そんな人間の動きをサポートするにはこれまでのような直線的手摺では限界があった。
そこで数多くの現場の声と専門家の研究から考え出されたのがこのカタチ。
立ち上がるときは、波型の縦になった部分を握ることで身体を楽に引き上げることが
できる。
また、座るときは水平部分を握り、体重を支えられる。
自分で立ち上がり、そして座る。
取っ手と杖の役割を果たすのがこの形状。
特に手摺りに水平部分があることで体を支えやすくなり、
膝への負担が1/3以下になるという測定結果が得られているという。
「クネット」と言うらしいが、家庭や公共の場に続々登場しているようだ。
街はどんどん高齢者に優しくなっている。
私達の心ももっと「優しく」なれればいい。