寺島尚正 今日の絵日記
2009年2月9日 喜びの箱
立春を過ぎ、日がかなり延びてきたことに感動するこの頃。つい2週間前は、5時には空から明るさが取り払われていた。しかし今は6時を過ぎても昼間の残光が居座っている。
さて洗浄機付き便座、本体設置までは順調にいった事、前回お届けした。「あとは水道管にホースをつなぐだけ。何だか簡単すぎて拍子抜けだなあ」子供の「あとどの位で出来る?」の問いに、「10分!」と余裕の声で答えたのは嘘ではなかった。その時点では。
「さて、では管をつなぐか・・」予め水洗タンク側面にあるパネルの1部を外し、分岐されている管に付いているマイナス形状のねじを右に回してある。丁度マイナスドライバーがしっかりと入る溝だ。少しきつめに締めておいた。「出来ればこの前の管をそのまま使えればいいな・・・」そう思っていた。そう高を括っていた。しかし、現実は甘いものではなかった。製造会社が異なるからか、接続部分の大きさが違う。とはいうものの、まだ心にはゆとり。「10分が15分に延びそう」位だった。新しい管を本体につなぎ、分岐部分の6角ねじを緩め、古い管を外す。「さあ、新しい管を分岐部につなげは完了だ。試運転は自分?息子にやらせてあげようか・・・」しかし、神様はさらに試練を用意して下さっていた。新しい管と分岐部の大きさも違うのだ!「えー!会社が違っても、水道管分岐部は共通の太さじゃないのかよー!?」ということは、分岐部分自体を交換しなければならない。確かに分岐部分のパイプは同梱されている。しかし、これを使うとなると大元を止めないとだめだ。水道メーターがあるあのブルーのボックス。中には雪の結晶か、はたまた小さな蜘蛛の巣みたいな形のバルブをしめねばならない。
大げさに言えば我が家を一時断水させるわけだ。おまけに、今ある道具では水道管の6角ねじがはずせない。さらにさらに、接続しなおす際ねじの螺旋部分に巻く水漏れ防止用のテープも必要だ。急に心の中にちゃぶ台が浮かんだ。巨人の星に出てきた星一徹のように「でえい!!」とひっくり返してやりたい、そんな気持ち。とはいうものの、ものがものだ。息子が覗きに来た。「あとどの位?」どうやら試運転をしたいようだ。「ちょっと状況がかわってね、買い物に行かなきゃならなくなった。行くか?」「・・・行かない」こいつにはトイレは一生使わせまいと強く誓った。狭いトイレに這いつくばり、額に汗ならず寒さで爪先がかじかんでいるのは誰なんだ?お前の父親だぞ!顔は似てるけど、ジャガー横田さんの旦那の木下先生はこんなことしないぞ!いかんいかん。心穏やかに・・・深呼吸。気を取り直し、元栓を一旦開けた。モンキースパナとシーリングテープを買って帰宅。改めて元栓を締め、大好きな歌、氷川きよしくんの「玄海舟歌」を口ずさみながら何とか交換に成功。元栓を開け、電源をいれ、作動を確認。試運転は・・・私。まだ温まり切っていない水を臀部にうけながら「2時間はかかったなあ」とぼうっとしていると、外から息子の声。「済んだ?」「おう!」「お風呂わいてるよ」「案外良い奴だ・・」そう思った。それからトイレがきれいなままでいる。少しは苦労が皆に伝わったのだろうか・・・。