寺島尚正 今日の絵日記
2008年10月6日 ほんのり
先週香り始めた金木犀がピークとなった。私が住む辺りは、宅地化された昭和49年頃、一区画に一本づつ金木犀が植えられていたという。常緑樹で病気にも強い。秋には可愛い花もつける。そんな理由だと考える。しかし当時の開発会社は35年後の庭木まで想像していなかっただろう。4年サイクルで手入れが必要で、怠ると近所迷惑になるのには閉口するが、見方を変えればそれだけ元気な奴である。葉は男っぽいくせに、つける花(に見える部分)は純真無垢な乙女を彷彿とさせる。そんな花から放たれる芳香が一帯を包み込む。夏から秋への移ろいを見るにつけ、心は物悲しさを抱きがちだが、そんなセンチな気分をほんのり薄めてくれる一時である。