文化放送戦後75年企画 シリーズ~封印された真実
英連邦墓地取材の様子。アーサー・ビナードとPOW研究会の笹本妙子さん
文化放送は、12月29日(火)から31日(木)までの3日間、「文化放送戦後75年企画 シリーズ~封印された真実」と題して、特別番組を放送します。
文化放送では戦後75年という節目に当たる今年、長い時間の中で語り継がれることなく埋もれてしまった戦争の実態を発掘していくシリーズ企画『文化放送戦後75年スペシャル 封印された真実』を放送しています。
全5回に渡るシリーズ、第1回は3月28日に『BC級戦犯』、第2回は8月15日に『軍属ラジオ』を放送しました。そして第3回からは12月29日(火)から3夜連続で『ホロコースト零(ゼロ)地点~私は生き延びた』、『あなたの故郷はどこですか?』、『3万6000人の捕虜』を放送します。
12月29日(火)午後7時00分~8時00分放送
『ホロコースト零(ゼロ)地点~私は生き延びた』
「ホロコースト」とは「全てを焼く」という言葉に由来するギリシャ語を語源としています。ナチス・ドイツがユダヤ人らに対して、戦前・戦中を通じて組織的に行った民族絶滅政策・大量虐殺を指す言葉ですが、我々日本人にとっては教科書の中でその単語を覚えるだけであり、実感を伴わないまま長い月日が流れました。しかし「分断社会」「自国ファースト」という言葉が定着した現代において、改めて「他者を思いやる心が無い社会」がいかに虚しく危険なものであるかということも学びつつあります。新型コロナウイルスの影響を受け、人とのふれあいが減りつつある今の生活の中においてこそ強く実感するものとなりました。今こそ、我々は現代社会に横たわる病根の端緒というべき「ホロコースト」という名の、人類史上最も憎むべき残虐行為を学ぶ必要があると考えこの番組を制作することとしました。番組のパーソナリティは、アメリカ生まれの詩人アーサー・ビナードさんが務めます。ビナードさんの目を通じて、わずか75年前に起きた醜い史実を見つめることで、2020年の今を生きる我々の糧にする時間にしたいと思います。
12月30日(水)午後7時00分~8時00分放送
『あなたの故郷はどこですか?』
サヘルさん、寒河江正さん
戦前・戦中、日本の統治下だった今の北朝鮮の城津(ソンジン)という町で生まれ育った元TVディレクターの寒河江正さん(88歳)は、戦後の混乱の中、命からがら日本に帰り着きました。月日は流れ40年以上経った1986年のある日、韓国の羅逸星という天文学者が自分を探していると知人から連絡を受け、驚きます。それは城津の旧制中学時代の同級生の名前でした。2人は41年ぶりに感激の再会を果たしますが、羅さんが寒河江さんを探し続けたのは、どうしても伝えたかった言葉があるからでした。寒河江さんと羅さん、幼馴染の2人の故郷は町の名前も変えられて、訪れることはできなくなりました。国籍の違う2人の戦中・戦後史はそのまま日本と朝鮮半島の戦中・戦後史とも重なります。番組のパーソナリティは、イラン出身の女優・タレント、サヘル・ローズさん。4歳で孤児となり養母とともに異国の地、日本に移り住んだサヘルさんが、寒河江さんと羅さん、2人の人生を辿りながら、自身の故郷について、社会の分断について、そして75年前の日本の戦争について考えます。
12月31日(木)午後7時00分~8時00分放送
『3万6000人の捕虜』
テーマは「日本国内の捕虜」。太平洋戦争中、3万6000人もの連合国軍側の捕虜が日本国内に収容されていた事実に驚き、取材に乗り出しました。捕虜たちはアメリカ兵をはじめとする外国人兵で、収容所は日本全国130ケ所に及んでいます。戦後の調査で約1割に当たる3500人の捕虜が栄養失調、赤痢など疾病、体罰による大怪我、強制労働時の事故などで亡くなっています。今回の特番では国内の収容所でし烈な暴力、虐待を受け、強制労働に従事させられて苦しんだ各国の捕虜の実態を当人たちの証言、家族の証言、日記や手紙、あるいは実際に捕虜の姿を目撃していた住人たちの証言をもとに検証します。また、人道的判断により捕虜兵士の命を救った日本人、ピアノで捕虜たちの心を癒した日本少女のエピソード等も取り上げます。戦後75年の今、国内に収容された3万6000人の捕虜たちにフォーカスすることで、戦争がもたらす悲惨な実態を解き明かします。
文化放送戦後75年企画 シリーズ~封印された真実
放送日:2020/12/29(火)~31(木)19:00~20:00
パーソナリティ:アーサー・ビナード(29日、31日)