金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2020年8月8日の放送は、リスナーメールをご紹介。家の購入を迷っている「よしこ」さんは、少し値の張る駅近物件か、少し駅から歩くけれども手頃な値段の物件、どちらを購入するべきかで悩んでいるそうです。
この場合、どちらを買ったほうがよりお得なのでしょうか?
多少無理をしてでも、駅近の物件を購入するべき?
今回も、リスナーメールをいただきました。足立区のラジオネーム「よしこ」さんから。
「最近テレビで、『価値が下がらないのは駅近の土地』というCMが流れています。余裕のあるローンで駅から15分と、ギリギリのローンで駅から6分、これで今悩んでいます。価値が下がらないなら、多少無理しても、駅から6分のほうがいいですよね?」
...というご質問なのですが。
コロナ渦、ボーナスを当てにするのは避けるべき
まず、駅から6分と15分だと、そこまで売却時の価格に変化は出ません。なので、住みたいほうに住まれるのがいいのかな、と思います。
ただし、いくつか注意するべき点があるので、それについてお話ししていきたいと思います。
よしこさんは、駅近の物件を購入するとしたら、ギリギリのローンを組まれるわけですよね。これが少し危険な気がしています。
というのも、ギリギリのローンを組まれる方って、大抵の場合はボーナス払いを想定されています。
ただ、コロナ渦でボーナスが下がったりゼロになったりして、住宅ローンのボーナス払いに支障が出てきた人もちらほら出てきていますから、ボーナスがなくなっても問題なく支払いができそうかについては、きちんと考えられたほうがいいと思います。
目安としては、年収が2割減ったとしても、あまり支払いが苦しくならない程度の借入額にするのが安全です。
売るよりも、貸すときのことを考えたほうがいいかも
それから、そもそも売ることを想定するべきなのか、ということも考えておく必要があるのかなと思います。
というのも、このラジオでは何回かお話ししているのですが、実は家って、売るのと貸すのでは、貸したほうが、合計で得られる金額は多くなることも多いんです。
ですから、売るのではなくて、貸すことを念頭において、貸したときにお金になりやすい家はどんな家か、ということを考えるというのも一つあるんじゃないでしょうか。
例えば、貸してお金になりやすい家の筆頭といえば「認定長期優良住宅」でしょうか。これは簡単にいえば、国が認めている最高品質の家なのですが、こういう住宅を購入する場合、住宅金融支援機構から50年の住宅ローンが借りられるようになります。これは家を売るときに、低い金利のローンを相手に引き継ぐこともできます。
ちなみに、50年のローンを借りると、月の返済額は2割程度減ります。
先ほど、年収が2割減っても支払える程度、ということをお話ししましたが、50年のローンを借りることも、この対策になるわけです。
もちろん、普段から余裕のあるときは繰上げ返済をする必要は出てくるでしょうが、こういうご時世に重要なのは、人生の一番苦しい時期を切り抜けられる策を事前に持っておくことなのかな、と思うんです。
ちなみに、「認定長期優良住宅」は、普通の家の1.2〜3倍ぐらいの値段で購入が可能です。でも、普通の家の3倍ぐらいの期間、安心して住み続けることができますから、結構お得な買い物とも言えるんですよ。
コロナ渦でも、家は買ったほうがいい!
こういうご時世だからこそ、家ってとても有意義な買い物です。
もちろん買い方には十分注意する必要がありますが、逆にいえば、買い方さえ間違えなければ、自分を守ってくれる財産にもなるわけですから。
ぜひ「よしこ」さんも、どういうご選択をされたのか、またラジオにメールいただければと思います。
今回は、駅近物件を購入することについて考えました。
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
◆放送日
土曜 6:25~6:50
◆出演者
大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)
残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)
鈴木純子アナウンサー