金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2020年7月25日の放送は、リスナーメールをご紹介。家の中にある、誰も使っていない部屋があることにお悩みのせつこさん。この部屋を誰かに貸したりできないか、と考えているそうです。大垣さんからは「貸すこと自体は問題ないけれど、気をつけるべきポイントがいくつかある」というアドバイスが。
リモートワークの広がりでコワーキングスペースの需要が増える中、空き部屋を貸したいと考えている方には必見の内容です。
家の中の、誰も使っていない一部屋だけを貸すことはできる?
今回も、面白いリスナーメールを頂戴しました。千葉県の市川市にお住まいのせつこさんからです。
せつこさんは持ち家に住んでおられるそうなのですが、家の中に、誰も使っていない部屋があるそうなんですね。この部屋を、誰か使ってくれる人があれば貸したいのだけれども、何か気をつけたほうがいいことはありますか、という質問なのですが。
これ、昔は「間貸し」と呼んでいたものですね。リモートワークも流行ってきていますし、需要がありそうです。
間貸し自体は全く問題がないものの、気をつけるポイントも...
結論から言えば、間貸しをすることは、法的には全く問題ありません。また、どこかに届出をしたりなど、手続きを取る必要もありません。
ただし、気をつけておきたいポイントが二つあります。
一つ目は、「何カ月間継続してこの部屋を使います」というような契約をしてしまうと、法律的に賃貸借契約というものだとみなされる恐れがあることです。
賃貸借契約には、借地借家法という法律が適用され、借主の権利が強く守られるようになります。このため、1カ月だけ貸したつもりでも、仮に借主が居座わってしまったら、強制的に出ていってもらうことがとても難しくなります。
こういう法律を悪用される方というのは存在するものなので、少し気をつけておくと良いのかな、と思います。
もし、リモートワークのためであれば、たとえば「2時間だけお貸しする」というように、時間貸しにして、寝泊りはさせないようにすることも一つかもしれません。
貸す部屋と自分の生活環境はきっちりと分けておくべき
できれば知っている方に貸し出すことと、それから、自分の生活空間と、間貸しする部屋が、きっちり分かれるようにしておくことをおすすめします。
やっぱり、家の中に知らない方が入ってくるというのは、何が起こるか分からないわけです。それからそもそも、防犯云々の前に、かなり気を使うこともあるかと思うんです。
ですから、自分の生活空間と間貸しされる部屋とは、鍵などを使ってきっちり区分けするなどの対策を取られているとよいのではないかと思います。
ちなみに、同じ敷地であっても、母屋と離れのように建物が完全に離れてしまっている家を貸して家賃をもらうと、賃貸借契約となってしまいますのでお気をつけください。
一番いいのは、近所に住んでおられる顔見知りの方がちょっと使う、とかでしょうか。学生さんの勉強用なんかに貸し出されたら、家も賑やかになるし良さそうですね。
古き良き時代の下宿をイメージすると期待外れかも...
昔はこういう、一部屋だけを貸すことってよくありましたよね。
私の出身地である京都なんかでは、間貸しの部屋が多くありました。まかない付きの間貸しもあったりして、なかなか風情があって良かったんですが......。
ただ、今はだいぶ時代が変わってきています。トラブルを防ぐためにも、期間を決めて貸すことと、きっちり安全対策を考えることという、この2点は意識されておくとよいのかなと思います。
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
◆放送日
土曜 6:25~6:50
◆出演者
大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)
残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)
鈴木純子アナウンサー