短歌とは、五・七・五・七・七の五句体からなり俳句とは違い季語が要らない歌となっています。短歌を作り、詠む人のことを歌人と言いますが、今回はその、歌人・笹公人さんについてご紹介させて頂きます。
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歌人である笹公人さんは、17歳の頃に寺山修司さんの短歌を読んだことをきっかけに作歌をはじめ、2003年に第一歌集「念力家族」が出版され、この歌集を元に2015年にはドラマ化もされました。「念力」をテーマにした歌集は、これだけではなく「念力レストラン」もあります。そして恋愛系ベスト歌集の「念力恋愛」が10月8日に発売。その他にも共著として様々な出版物にも関わっており、短歌界の新たな道を示すような歌に興味を惹かれる方も多いです。
短歌で生み出される不思議ワールド
短歌をよく知らない人でも笹公人さんの作品は読みやすく親しみ深い作品が多いです。歌の中にはオマージュされたものがあり、様々な趣向が凝らされています。歌集のタイトルでも「抒情の奇妙な冒険」といったものが発刊されており、こちらも「ジョジョの奇妙な冒険」という人気漫画をもじったものになっています。ユーモアの溢れる作品群が多く、詠んでみると笑えてしまうような内容、しかし、ただ笑えるだけではなく情緒へと訴えかけてくる面も備わっており、新しい歌であるにも関わらず、その歌の内容がどこか懐かしく、心に溶けて染み渡る感覚の得られる歌が作品の中に広がっています。
出版社が短歌集とは程遠い
上記でも記載した「抒情の奇妙な冒険」は、早川書房のハヤカワSFシリーズJコレクションの一巻として刊行されるなど、歌集出版とはあまり縁の無い出版社の著書が多く、そう言った部分からもユニークな歌人であることが分かります。そもそも歌集なのに何故SFシリーズなのか、疑問を抱くことになるかと思いますが、笹公人さんの作品は短歌でありながらSFのような物語性も備えたユニークさがあります。念力シリーズではオカルト短歌なども収録されています。笹公人さんの作品は様々な時代やジャンルのものが取り入れられており、作品の中には必ず心へと強烈に刺さるものがあるはずです。読者へと新たな刺激を与える唯一無二の歌人として更なる活躍が期待されています。
10月5日の放送では、9月28日の放送に引き続きショートショート作家の田丸雅智さん、そして今回ご紹介した歌人である笹公人さんにご参加いただき、「常識のヘルメットを外す重要性」から「妄想を形にする上での難しい点」について熱いトークが繰り広げられました。
常識のヘルメットを外そう
入山 9月28日の放送でも有りましたが、常識だから学校の廊下を走ってはいけない、というのが有りますよね。でも常識のヘルメットを外してみて、走ってみたらどうなるんだろうか?と妄想すると面白いですよね。
田丸 最新の作品「転校生ポチ崎ポチ夫」はそれを意識して作ったものですね。本当に廊下は走ってはいけないんですよ。危険ですからね。けれど、こういった普段触れている常識・ルールというものを揺さぶってみて、改めて自分の血肉として頂きたいんですよね。本当にそのルールは必要か?というものに関しては疑って、必要で無いのであれば変えていって欲しい、と考えていますね。
妄想を形にする上での難しい点
笹 思いついても忘れたら終わりなんですよね。面白いアイデアや閃きを逃さないことを重要視していますね。
田丸 同じですね。アイデアは沢山転がっているのですが、人はそれを見逃してしまうんですよね。それに「後でいいや」という感覚もあると思うのですが、いつか出来るだろう、というイメージではなく僕の場合は「今やる」という意識を持つようにしています。
笹 自分で締め切りを設けて作品に取り組むのが大事ですよね。それに編集者が短歌をあまり知らないので自分で作品をジャッジしないといけないんですよね。ボツにしないといけないアイデア、どれを活かせば面白いのか、不安になりながら作っています。
入山 お二人の考えは新しい事業を作る方々に似ていて、聞けば聞くほどにお二人ともイノベーターだ、と思いますね。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:月曜 19:00~19:30
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週月曜日、午後7時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。