シビックテックとは、市民自身によるITを活用した社会課題の解決や生活をより便利にするための取組です。シビックテックを代表する非営利団体といえば「Code For America」で米国にて2009年から活動しています。そして2013年10月には「Code For Japan」が設立されました。「Code For Japan」では、「ともに考え、ともにつくる社会」をコンセプトに掲げ、みたい未来を自分たちで作り上げて行こうと活動している団体です。
【こちらもおすすめ】
スマートシティ竹芝が描く未来とは?
Code For Japanは東京都から委託され「新型コロナウィルス感染症対策サイト」を立ち上げました。情報サイトはいくつもあったにも関わらず、情報が煩雑だったからか重要なものが市民の手に届かないという問題があり、これが改善されたサイトを作り上げました。最新感染動向や相談件数などを分かりやすく作り、必要な情報がサイトを訪れた人たちに届くようにしました。そしてサイトのコードはオープンソースとして公開されており、東京から始まったものが全国へと広がっていくという動きを見せました。
Code For発のプロジェクトは続々と増えており、様々なツールなどが市民に活用されています。金沢では、住所ごとで異なるゴミの捨て方、収集日や分類方法というゴミに関する情報を調べられるアプリ「5374.jp」が開発されています。これは地方発信ですが、他の地域でも使われ始めており、全国にも広がりつつあります。
行政だけでは対応しきれなかったり、市民が抱える問題を解決できずにいたものが、こう言ったシビックテックと呼ばれる活動により、私たちの生活をより豊かにしていくことが期待されます。そして新たな社会が作られていくことで、今後更に増えていくと思われる課題に対してもシビックテックによる解決が行われることが期待できます。
シビックテックによる解決はテクノロジーを用いたものとされていますが、本当に重要なのは、そこに暮らす人々が「幸せ」であることにあり、幸せに向かって行くために各々が何をできるか、そう言ったことに対して建設的に議論が行えるのが大切なのかもしれません。
文化放送のラジオ番組『浜松町Innovation Culture Cafe』9月26日の放送では、Yahoo!メディアプロデューサーの宮内俊樹さん、一般社団法人Code for Japanの関治之代表理事をお招きし、熱いトークが繰り広げられました。
これからの防災に大切なこと
宮内 通常の避難訓練では、通知が来たところから避難行動開始が基本ですが、福岡市では「とつぜんはじまる避難訓練」と題して、設定された対象期間のうち、いつ来るかわからない状況でLINEを使い避難訓練を実施しました。コロナ禍でリアルでの避難訓練が難しい中をデジタルで実施してみようという事で開始されたものですね。
入山 最近BCP(※事業継続計画(Business Continuity Plan))というキーワードが注目されていて、企業でトラブルが発生した場合に事前準備や訓練しておくということが重要であると言われています。
宮内 Yahoo!でも以前、避難訓練をtwitterでできないか、と実験したことがありますがtwitterのタイムラインに流れてくる様々な情報が膨大すぎて追いきれないということがありました。例えばツイッターであればフェイク情報なども含まれている可能性があることを理解した上で、様々なメディアを組み合わせて用いる、そういったことも重要だと思います。これからの防災はそれぞれのメディアの特徴を理解して、選択肢を多くしておくことがポイントです。行政との連携もますます重要になります。
市民の力を発揮するオープン性
関 Code for Japanが開発した東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトは、オープンソースで公開されており、誰でも修正や提案ができるようになっています。
入山 台湾のIT担当大臣のオードリー・タンは「ラディカルトランスペアレンシー(徹底した透明性)」を強調していますね。オープン性と透明性が重要だと。
関 以前にそのサイトで、グラフの色合い問題で色弱の場合だと見づらいという問題がありまして、issueが立てられ、議論が行われていたことがありました。早いリリースのために強引な形でissue自体を終了させたところ、炎上してしまい、改めて議論を続けた結果、今はデザイン性も兼ね備えた良いグラフとなりました。ラディカルなオープン性というものは、こういうことをいうのだと分かりましたね。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:月曜 19:00~19:30
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週月曜日、午後7時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。