コンセプターの坂井直樹さんは、日産のBe-1(以下:ビーワン)にコンセプト企画で関与され大ヒットを生み出しました。以降、パオ、エスカルゴ、ラシーンなどのカーデザインに携わっています。坂井さんはファッションのデザインを主にされていましたが、それからは様々な商品にコンセプターとして携わっています。携帯電話端末のデザインを開発するプロジェクトなどにも参画されていました。
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何故、坂井さんは、様々なものに関わり、様々な新しいデザインを築けるのか、そういったことに対して坂井さん本人は自信がデザイナーでは無く「コンセプター」だからだと説明されています。そして、坂井さんの実施されていることは1960年代からテーマは変わっていないそうです。
WaterDesignを設立され、この中でも坂井さんが発信しているメッセージはとても強いモノです。イノベーションの源は、一見、関係なさそうな事柄を結びつけることにある、独自の発想とネットワークから、人、 企業、コンセプトを TSUNAGU ことにより、 顧客に新しい価値、すなわちイノベーションを生み出すことを目指す、と記載があります。
そしてコンセプターとしての仕事の内容もこちらに記載があります。
クライアントの目的を実現するために、最適な人材やサービスを見つけ出し、コンセプトワークによってクライアントと繋ぐ(TSUNAGU)こと。
コンセプト実現のための人材・サービスは常に幅広く探している。
デザイナーでは無いから、多様な種類のものに関わっていけるという論に納得がいく説明がなされていますね。デザインをするのは坂井さん本人ではなく、コンセプトワークによって最適なものを探していくということがコンセプターの本分であり、それを提供してくださるのが坂井さん。
文化放送のラジオ番組『浜松町Innovation Culture Cafe』2020年9月5日放送では、Panasonic Game Changer Catapult代表の深田昌則さんと、コンセプターである坂井直樹さんにご参加いただき、「コンセプターのきっかけ」から「ダイバーシティの重要性」について伺いました。
坂井さんが関わった車 ビーワン
坂井 ファッションをずっとやってきましたが、ある時に車のデザインについて話を聞きたいということで、その時に初めてコンセプトを出すということをやりました。車に全く興味がなかったのですが、ファッションのように世界観を大事にするようコンセプトを提示しました。
入山 確かに今でも日産ビーワンは覚えていますね。これまでの車とは全く違う印象で衝撃を覚えました。車のデザインと言うより、実際のイメージ・情景が見えるデザインでした。
深田 私も若い時に見て衝撃を受けました。ビーワンは古いのに新しい、新しいのに古いというデザインだと感じました。今では「モノからコトへ」という言葉がありますが、モノのデザインではなくて、コトのデザインというのを、あの当時からされていたと感じていますね。
坂井 実際はファッションの世界であれば当然のことなのですが、それを車業界へと応用した形ですね。
ダイバーシティの重要性
坂井 デザインにおいてもダイバーシティ、多様性が重要ですね。ダイバーシティが無い限りイノベーションはないので、どのように多様性を築いていくかが大切です。
入山 比較的ダイバーシティの低い組織と接することがあると思いますが、どう感じられますか?
坂井 事業部同士が内部で戦っていることがよくありますね。本当は外に敵がいるのにそれを繰り返していることが多く、本来の構造を変えていく必要があると感じていますね。
入山 坂井さんは様々な危機意識や人を見る力が高いですよね。ただデザインやコンセプトの提示をするだけではなく、それを如何に商品化され人々に使われるか、お堅い企業に埋め込んでいくか、という事を意識されていますよね。
坂井 そういった意識は以前からあり、コンセプターの仕事の9割は根回しだと思っています。誰がキーマンなのかを判断していますね。キーマンが居ないと企業は動かないので、形になるよう意識して立ち回っています。
次回の放送は9月12日(土)18時から「サッカーに学ぶ経営術」というテーマでお送りします。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:土曜 18:00~18:57
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週土曜日、午後6時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。