金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
2020年7月4日の放送は、ゲストをお招きしてのスペシャル回。ミャンマー住宅開発インフラ銀行のCOO、泉賢一さんにゲストでご登場いただいています。2020年現在のミャンマーについて、現地をよく知る泉さんならではのディープな情報をお話いただきました。(※ミャンマーの現状は20年6月末収録時点でのお話です)
泉 賢一
ミャンマー住宅開発インフラ銀行のCOO。太陽神戸三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行後、国内の中小企業営業を中心にキャリアを重ね、2013年、ミャンマー担当に指名。ミャンマー政府が金融の仕組みを整えるため、信用保証制度の仕組み作りを行った。
世界が注目する「ラストフロンティア」ミャンマー
鈴木 ミャンマーってどんな国なんでしょうか。
泉 2015年にスーチーさん(現:国家最高顧問,外相アウン・サン・スー・チー氏)率いる政党が圧勝し、民政化が本格的に加速しました。それ以来、多くの国や国際機関がこぞって支援をしています。「ラストフロンティア」なんて呼ばれることもある、発展の非常に楽しみな国ですね。
大垣 泉さんは、「ミャンマー住宅開発インフラ銀行」で、COO(最高執行責任者)として、政府に頼まれて臨時で総裁代行みたいなことをやっていた私の後任を務めていただいているんですよね。住宅ローンなどの金融商品を導入することが主な目的の銀行です。引き継がれてみて、業務はいかがですか。
泉 大変ですね。ミャンマーは50年間ずっと鎖国状態だったので、国民の皆さんに「お金を使う」という行為の意味を理解していただくというところから始まるというか。
大垣 そうなんですよね。わたしもなかなか悩みました。
たとえば、部下の人から「日本から習ったとおり住宅ローンには抵当権をつけます!」と言うので、「そうかい。貸倒れたときの抵当権の実行はこっちじゃどうやってやるの?」と聞くと、「そういう制度はないかも」という。「それじゃ意味ないじゃん!」と(笑)。
国民性はすごく日本と似ているな、と思うんですけどね。
泉 そうですね。まあ、考えようによっては、何もないわけですから失敗もないわけで、やりたいようにやらせていただこうかなと思っています。
僕自身は、ミャンマーの人たちにとって、たくさんのお金を貸してあげるということが、必ずしも彼らの幸せに直結するわけではないんだろうな、と思っていて。彼らと一緒に「何が大切か」ということを考えながら、共に歩みを進めていくってことが大切なのかなと思っています。
ミャンマーのコロナ、規模は日本の100分の1
大垣 ちなみに、ミャンマーではコロナはどうですか。
泉 患者の数は増えてるんですが、それでもまだ300人はいっていませんね。亡くなられた方も、公式に発表されているデータでは6名だけです。規模としては、日本の100分の1ですね。
人口は日本の半分ですから、それから考えるとまあまあきちっとやってるんじゃないかなというイメージはあります。もちろん、原因不明で亡くなる方の中に、もしかしたらコロナが原因で亡くなられた方がいるかもしれませんが。
ミャンマーの挨拶は「ご飯食べましたか?」
鈴木 ミャンマーでは、ご飯はどんなものを召し上がるんですか。
泉 麺類とご飯類が多いですね。麺は米粉の麺があります。スープは基本的に、ダシガラにナマズを使っていることが多いですね。そんなに臭くないですよ。
大垣 泉さんがすごいのは、現地のものを積極的にお食べになりますでしょう。それでお腹を壊すと、痛みが尋常じゃないと以前話されていたじゃないですか。それでも食べるというのがすごい。
泉 常備している薬があるので、それを飲めば大抵治るんですけどね。
残間 そこまでしてどうして食べるんですか? やっぱり、食べないとお互いの気心が知れないとか?
泉 まさにそうなんです。ミャンマーって、ご飯がとても大事なんですよね。
象徴的なのが、人と会うと、挨拶がわりに「タミン サ― ピービーラー」って言うんですね。英語でいう"How are you?"のような感じで。で、これは直訳すると「ご飯は食べましたか」という意味になるんです。ご飯食べられないほど元気じゃないかどうかっていうのを聞いてるんですが。
大垣 挨拶でそれをまず聞くっていうのがすごいですよね。
ミャンマーって、観光地以外はどんな国?
大垣 最後に、ミャンマーって、全体で見るとどんな国なんでしょうか。泉さんはミャンマーの都市部だけでなく、地方にもどんどん足を運ばれていますよね。
泉 皆さんの多くは、ミャンマーに「亜熱帯」とか「熱い」というイメージをお持ちだと思うんですが、ミャンマーって縦に長い国なんですね。なので、北のほうに行くと凍えるくらい寒いです。北は高山地帯で、一番高いところでは標高3000メートルくらいあります。ですから、観光資源は非常に多いですね。
ただし、インフラが整っていないので、一度の滞在で複数の場所を観光するのは難しい。
たとえば私は仕事で、都市以外の街に住んでいるお客さんのところまで車で移動することがあるんですが、どこに行くにも片道でおよそ5時間ぐらいはかかります。12時間以上かかることもあります。
まあ、5~10月の雨季さえ外していただければ非常にいいところなので、何回も訪れていただいて、ミャンマーを堪能していただければと思います。
残間 ちなみに、泉さんのご家族はミャンマーに来られたことはあるんですか。
泉 何回も来てますよ。20回ぐらい。
大垣 日本と距離も近いし、意外と気楽にいけますよね。
泉 そうですね。
鈴木 ぜひ、コロナが明けたらお邪魔してみたいと思います。今回は「ミャンマー住宅開発インフラ銀行」のCOO、泉賢一さんと電話を繋ぎました。
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
◆放送日
土曜 6:25~6:50
◆出演者
大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)
残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)
鈴木純子アナウンサー