教員、学校の先生たちは「定額働かせ放題」と言われているのをご存知でしょうか。半数以上の先生が過労死水準(月80時間・1日4時間以上の残業)を超えていると言われており、心の病を患い休職されている先生は全国で5000人を超えているようです。
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公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
上記を略して給特法と言われる教員の給与などにおけるルールを定めた法律のことです。教員の残業は、やらざるを得ないものが多いにも関わらず、自主的に実施しているとされ、残業代は出ません。生徒達のトラブルに加え保護者とのトラブルなど、避けては通れない問題が多く、登校安全指導やクラブ・部活といったものに時間を取られ残業だけでなく早朝に出勤しなくてはいけないケースもあります。ですが、一律4%の手当てが付与されるだけなのです。
教育のあり方を考える
生徒達が学校での授業を面白いと思えないことが問題視されたり、個人の特徴を活かせない教育方法に疑問が上がることがあります。しかし、社会が学ばせようとしていることと個人の願望は一致しないですし、個々に合わせて教育に取り組むのは教員の負荷が大きくなってしまい現実的ではありません。教員が悪いと思われがちですが、社会の仕組みが現状を作り上げてしまっている側面が強く、より良い環境を目指すには教員の方々だけの努力ではなく、我々も一丸となって立ち向かっていく問題だと思えます。
給特法に関しては改正法が2019年に成立しており、2021年には全面的に施行される予定となっていますが、まだまだ多くの懸念が残っており、現状を打破できうる状況に至るかは確信できない部分が多いです。これからの日本を担う子供達のために、そして社会全体のために、今一度、教育について考えてみる必要があります。新たなイノベーションによりこういった課題にも向き合っていきたいですね。
文化放送のラジオ番組『浜松町Innovation Culture Cafe』2020年7月4日の放送では、お笑いジャーナリストであり、株式会社笑下村塾取締役のたかまつななさんと、中学2年生で起業し高校1年生で母校を買収したという株式会社TimeLeap代表取締役の仁禮彩香さんにご参加頂き、「日本の教育」の話から「現場ができること」について伺いました。
教育というもののギャップ
仁禮 小中高生のための起業家教育プログラムというものを完全オンラインで実施しています。起業家的経験を経て、自分の人生を切り開いていく力をつける目的です。学校と社会というのは切り離されているように感じており、学校で学んだことは、どのように仕事へ活かされるのか、そもそも仕事とは何なのか、ということがわからないままテストに向けて勉強をするという違和感、未来への不安感が有りました。学校では、この不安に対する教育はなかったため、自分ができる手段として起業することになりました。
入山 インターナショナルスクールに通っていたようですが、それが日本の教育現場とは違うというのもあったのでしょうか。
仁禮 自分の考えと相手の考えを聞いてくれる、話しやすい環境でした。何が正解かというものではなく、どのようにして自分たちで決断していくか、という点を話し合うことが重要で質問でのコミュニケーションが凄く多い環境でした。自分たちで、何故なのか、どうするべきか、と考え続けるよう問われる事が普通だったので、日本の教育とはギャップを感じました。
教育の現場ができることは
仁禮 教育とは何か、という定義が大切であり、その場にいる方々の感覚や意識に影響を与えるものだと思っています。大学に進学するために学校があるのか、自分の人生を生きていくために学校があるのか、こういった意識の差が今の縮図に至っているのではないかと思います。
入山 今、教育の現場に対して出来うる案といったものはありますか?
仁禮 もっと外部の力を借りることだと思います。学校のルールや固定観念によって新しいタイプの教育を受け入れられないと跳ね除けてしまうのではなく、新しいことにチャレンジしていくことで変化が生まれると考えています。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:土曜 18:00~18:57
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週土曜日、午後6時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。