今年1月にスタートした『宮下草薙の15分』は、宮下草薙の二人が持ち寄ったテーマで喋るだけのシンプルなトーク番組です。今回は、ネガティブ漫才でブレイクを果たした二人がどんな素顔を持っているのか、お話をうかがいました。
※こちらは文化放送の月刊フリーマガジン「フクミミ」2020年8月号に掲載されたインタビューです。
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「頑固者」と「甘えん坊」のコンビネーション
―― まず、お互いのことをどんな人だと思っているかを教えてくださいますか。
草薙 宮下は頑固ですね。いい意味で解釈すれば「芯がある」とも言えますけど、自分が正しいと思うことは人から何を言われても絶対変えません。僕と宮下は太田プロの養成所の同期なんですけど、その当時、ネタ見せの時間で宮下が一人で漫談を披露して、作家さんにダメ出しをされたことがあったんです。そこで普通の若手なら素直に「はい、わかりました」って言うじゃないですか。でも、宮下は「俺のことを面白くないっていうあなたがセンスないっすよ」って食ってかかったんです。僕、後ろで見ていて「ヤバッ!」って思いましたもん(笑)。その感じは今でも変わってないですね。
宮下 うん、変わらないですね。
草薙 いや、誉めてないからね(笑)
―― 宮下さんから見た草薙さんはいかがですか。
宮下 世間的に草薙はネガティブな性格で、ヤダヤダって駄々をこねてるイメージがあると思うんですけど、実際もほとんどそのままですね。ワガママで、甘えん坊で、相方に暴力も振るう。人がやってはいけない全てをやる人間というか(笑)
草薙 でも、よその人にはやらないよ。
宮下 そうだね、たしかに身内にしかやらないね。つまり、絵に描いたような最高級の内弁慶なわけです。メシも僕と一緒じゃないとヤダって言うし、なにかと「宮下、宮下」って甘えてきますし。「あれ、こいつ俺が産んだんかな?」って錯覚するレベルですね(笑)
―― あと、暴力というのは(笑)
宮下 本人としては「じゃれている」つもりなんでしょうけど、たぶん力の制御があんまりできてないんでしょうね。しかも草薙の場合は首を絞めてくるので。
草薙 あれは「ありがとう」の意味なんだけどね。
宮下 「ありがとう」で首絞めないだろ(笑)
草薙 やっぱり、相方に感謝の気持ちを伝えるのって恥ずかしいじゃないですか。
宮下 たしかに恥ずかしいね。
草薙 だから「良かったよ」って、(首を)ギュッと。
宮下 伝わるか!(笑)
お互いが必要としているから「二人」でいる
―― 相方さんとコンビを組んでよかったと思うことは何でしょうか。
宮下 もともと僕はピン(一人)で芸人をやってたんですが、強烈なキャラクターがあるわけではないし、インパクトに欠けるという自覚がありました。それがコンビを組んでからは、草薙がこのキャラで先陣を切ってくれるわけです。その一方で、草薙が目立てば目立つほど僕が「(草薙)じゃないほう」って影が薄くなるわけですけど、それでも草薙は「宮下草薙」として二人で活動することを最優先してくれるんです。自分一人でやっていこうという気持ちはまるっきりないみたいで。まあ、それも「甘え」の一種なのかなとは思いますけど(笑)
草薙 「宮下草薙」を結成する前は、僕は違う人とコンビを組んでたんですけど、そのコンビを解散したとき僕は芸人を辞めるつもりだったんです。そこで「もうちょっと続けてみろよ」って言ってくれたのが宮下だったんです。その一言がなかったら僕は芸人を続けてなかったので、めちゃめちゃ感謝してますね。
―― ちなみにお二人のどちらからコンビを組もうと切り出したか覚えてらっしゃいますか。
宮下 ここが一番「諸説ある」ところなんですよね(笑)。僕は、草薙から電話で「助けてくれ。売れさせてくれ」って言われたのがきっかけだと思ってます。
草薙 言ってないよ、そんなこと。
宮下 言ったんだって。「熱いヤツだな」って思ったもん。マジで録音しとけばよかったよ(笑)
草薙 そこはたぶんお互いに思うところがあったんだよ。宮下は「俺と組んだら売れるよ」みたいなことを言ってたじゃん。
宮下 いつもこんな感じになるので、コンビ結成のきっかけは「諸説ある」に落ち着くんです(笑)
二人にとってベストな「15分」
―― 『宮下草薙の15分』は放送開始から半年以上が経ちましたが、振り返っていかがですか。
宮下 「じゃないほう」と呼ばれている僕は、テレビではほとんど喋る場面がなく放送が終わることもあります。その点ラジオは「平等」というか、じっくり喋れるのが本当にありがたいです。貴重な時間ですね。
草薙 僕はラジオを始めてから、いろいろ考えるようになりましたね。これまでボーッと生きてきたので(笑)。ラジオで喋るネタを探すためにメモを取るようになりました。そのおかげで、この半年間はささいな出来事でもかなり記憶に残っていますね。
―― 初回収録後には草薙さんの「15分以上喋るとケンカになるのでよかった」というコメントもありましたが、今後は番組の時間枠を拡げたいという思いはないんでしょうか。
宮下 まったく考えたことがないんですよね。この番組は「いかに僕が崩れないか」がポイントだと思ってるんです。草薙は最初から崩れっぱなしなので。
草薙 (笑)
宮下 僕が崩れたら終わりなんです。これが15分ならまだカバーできますけど。30分になったら僕も崩れていくので。だから、できれば15分のまま、現状維持でいきたいですね。
草薙 15分がピッタリかもね。あと、毎回聴いてる人にはバレてるかもしれないですけど、実は僕、自分のトーク担当回に最後までトークしたことがないんです。僕が話し始めても最後は宮下が締めて終わるという「宮下フィニッシュ」で終わることが多いので、ちゃんと最後まで喋れるようになりたいですね。
宮下 まあでも、フィニッシュは担当してくれてるよ。
草薙 ほんとに?
宮下 「グダグダ」っていうフィニッシュで(笑)
●宮下草薙プロフィール
宮下草薙:草薙航基(くさなぎこうき:写真左、愛知県出身)と宮下兼史鷹(みやしたけんしょう:写真右、群馬県出身)が2016年1月にコンビ結成。2017年12月、NTV『ぐるナイおもしろ荘若手にチャンスを頂戴今年も誰か売れてSP』3位入賞。