劇伴作家は「アーティストではなく職人」フレームまで合わせる制作に武田真治も感心『楽器楽園~ガキパラ~ for all music-lovers』
文化放送で放送中の『楽器楽園~ガキパラ~ for all music-lovers』。パーソナリティは、武田真治さんと岡部磨知さんです。
1月12日のゲストは、作曲家・ピアニスト・劇伴作家の村松崇継さん。映画やテレビドラマの伴奏音楽「劇伴」の話で盛り上がりました。
村松崇継、劇伴作曲中は「台本を常に読んで妄想」
村松さんは、WOWOWで放送中のテレビドラマ『コールドケース3 ~真実の扉~』の劇伴制作を担当。「(劇伴の作曲中は)台本を常に読んでいる」と話します。
村松 ドラマの場合は映像がないので、台本を常に読んで、妄想で作っていきます。
武田 妄想で。だから役者さんよりも行間を読むって作業が。深読みとか、すごいと思います。
岡部 いや、ホントそうだよね! 全役者さんの心情をくみ取って作ってるわけですからね。
ここで、武田さんが「メインキャストじゃないけど、この人にテーマ曲を書きたいなって俳優さんもいるでしょ?」と質問。村松さんは「あります!」と即答します。
村松 脇役の人のほうが、すごくキャラが濃い人が多いので。「この人のテーマを作りたい!」っていって、自分で作って納品したこともありますね。
武田 発注ないのに?
村松 はい。発注ないんだけどっていうのは、よくあります。
岡部 そうなんですね!
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劇伴作家は「アーティストではなく職人」
岡部さんが村松さんに「劇伴の仕事をするうえで大事にしていること」を質問。村松さんは「劇伴作家は職人なので、アーティスト部分を消さないといけない」と答えます。
村松 メニュー表というのがあって。例えば「ここは悲しいシーン、ここは楽しいシーン」って依頼をいただくんですけど、最初は自分の感性で書いてしまうんです。ただ最終的にそれは演出家や監督のものなので。時には演出家や監督の考える「楽しい」や「悲しい」にもっと寄り添わないといけないんですね。
岡部 あー。
村松 なのでアーティストってことは忘れて、感性を演出家に揃える作業がすごく大事になります。
武田 「依頼があっての仕事」っていう割り切りがね。
村松 そうですね。だから「職人」だと。
武田 大変だ!
岡部 そのうえ(曲の長さの)秒数指定とかもあるわけですからね。
村松 そうですね。映画とかだと、タイム合わせは「何分何秒何フレーム」まであるので。そこはけっこう緻密にやっていきますね。
岡部 例えば恋愛映画のすごく大事なシーンとかで、「この触れるところに音を合わせる」みたいなことを考えているんですよね。
村松 そうなんですよ。なのでたまに1小節の1拍ごとにテンポを変えたりとか、映像に合わせるためにしています。
村松さんの話を聞いた武田さんが「音楽を熟知していないとできないことだね」と感心すると、岡部さんも「職人肌じゃないとできないことだよ、面倒くさいもん(笑)」と言って笑いました。