2月25日に行われた第515回文化放送番組審議会についてご報告いたします。
まず会の冒頭、吉野隆委員の任期途中の辞任について柿澤事務局長から報告がありました。2月3日に吉野委員からのご意向を受け、2月10日に文化放送番組審議会として受理いたしました。
さて、今回の議題は、1月2日の午後3時半から放送した「文化放送 新春経済スペシャル 森永卓郎と森永康平の親子経済学」です。昨年1月の放送に続いて2回目の放送となる特別番組で、残念ながら1月28日にお亡くなりになられた経済アナリスト 森永卓郎さんと、息子康平さんの親子共演による経済番組です。番組内では今後の世界情勢が経済に及ぼす影響や日本経済の展望のほか、1年ほど前に医師からがんによる余命宣告を受けた森永卓郎さんの近況やご自身の想いについても紹介されています。経済番組ながらも堅苦しさを感じさせない内容で、リスナーが新年を前向きにスタートできる番組を目指して制作されました。
審議委員の意見の概要
とても楽しく聴きました。森永卓郎さんという人が非常に誠実に、聴く人あるいは見る人のために話をし続けた。それは非常にユーモアを交えながら、柔らかい語りだけれども、ご自分の視点というのもはっきり出しながら、そういう話を続けることで生涯を終えられた。その生き方が非常によく伝わってくる番組だったと思います。
世の中では二世問題というのがとても叫ばれる中で、親子でもキャラクターも違うし、お互いのことをそれぞれちゃんとわかっていて、言葉を被せることもなく礼儀正しくやっていて、その点は良かったと思います。ただ、問題提起をしたいのですが、本人が辞めると言うまで出し続けるというのがマスメディアなのか。公共の放送を使うのは違うのではないか。聴いてられないと感じる人もいることをわかってほしいと思います。
長い間マクロ経済とか金融という世界に担当として身を置いていた者として、申し上げなければいけないことがいくつかございます。私が問題視しているのは、財政と税に関する部分と、財務省批判、そして為替の円安信仰です。電波を使って一方の主張だけを取り上げて、対抗する主張が全くないというのは、非常に影響が大きいだけに、大変問題だと思いました。
私はごくごく一般聴取者というか、一般人の典型のような立場で興味を持ってこの番組を楽しく、気楽な気持ちで聴くことができました。森永卓郎さんが最後まで出演し続けた、あるいは書き続けた、そのように実践されたことはいいなと思います。
親子で同じ番組に出てそれぞれの意見をしゃべるというのは企画としては非常に面白く、大胆なコメントをするお父さんと、保守的なコメントをする息子さんとの対比が、ある意味面白く聴けました。亡くなる直前まで仕事ができたのは、幸せな人生だったと言ってもいいのではないかと思います。お疲れ様でした。
文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、そして松永真理氏、荒川洋治氏、福本容子氏の5名です。
2025年3月17日
文化放送番組審議会事務局