2月27日に行われた第505回文化放送番組審議会についてご報告いたします。
議題は、昨年12月26日(火)から12月28日(木)に放送した、文化放送年末スペシャル『「日本沈没」を探す旅』を取り上げました。この番組は、2023年は関東大震災から100年の節目であると同時に、「第2関東大震災」をモチーフとした小松左京原作「日本沈没」の発表から50年の節目の年であったことから、この2つをつなぐ番組として企画され、小松左京がこの作品にこめたメッセージをしっかりと伝えるべく、3夜連続で放送されました。奇しくも放送直後の2024年元日に能登半島地震が発生。放送内容と重なる点も多く、私たちが災害列島に暮らしているのだということを再認識させられました。

審議委員の意見の概要

企画も各回の内容も、大変興味深いエピソードがいくつも盛り込まれており聴きごたえのある番組だったが、構成上あえて差し込まなくても良かった話題があった。いっそ3回ではなく、2回の番組に凝縮した方が良かったと思う。

印象に残った事は、実際に作者が描いた事が現実に起きてしまった事。それをどう受け止めるかという事に関して、作者の気持ちが伝わってきたと思う。全体的には非常に興味深い番組でしたし、知って良かった箇所がいっぱいあったので、とても有益な番組だった。

本当に聴き応え十分でした。情報があり過ぎて少し戸惑った所は否めませんが、密度のある内容だったので、もう一度編集をし直して再度放送があってもいいと思う。

このような番組では制作側の伝えたい気持ちと、リスナー側が理解する能力、聴きたいと思う気持ちのバランスが大事だと思いました。思い切っててんこ盛りの中から少しずつ引き算で引いていって、もう少し整理したほうが良かったと思う。

3日に亘って1時間ずつの大作を作るというトライアルとしては大変良かった。ただ、小松左京クロニクルと題している以上はもう少し年代別に、具体的に、彼の思いや言葉を紹介していただくと、聴いていて分かり易く、リスナーとしての私の頭の中も整理がつき易かったと思う。

この番組は災害、戦争、人間小松左京としての歴史の三つが混在しているので、確かにごちゃごちゃになった。一番印象に残った言葉が“「日本沈没」は小松の成功の歴史であり挫折の歴史である”という言葉で、途中で悩まれたという事もよく分かったので、本当にその辺は興味があった。

文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、そして松永真理氏、荒川洋治氏、福本容子氏、そして吉野隆氏の6名です。

2024年3月18日
文化放送番組審議会事務局