2月28日に行われた第495回文化放送番組審議会について御報告いたします。議題は今年1月3日午後8時から8時55分まで放送した特別番組『象のRadio~キャンティの時代』です。1970年代のニューミュージックから現代のシティポップブームに至るまで、日本の音楽シーンにおいて欠かせない存在である伝説のプロデューサー川添象郎氏が、数々のヒット曲はどのように生まれていったのかを、驚きのエピソードとともに自らの半生を語っています。

審議委員の意見の概要

川添さんの語り口は淡々としていて、それでも衰えぬ情熱を感じさせるものがあり、時々「ここは」というところはかなり早口で力強く語っていたのが非常に良かった。アナウンサーお二人によるナレーションも良かった。番組冒頭のラジオフラッシュは聴き難かった。

戦後日本の音楽史を川添氏が渋く語っていて、同世代のリスナーの胸に響いたと思う。スタジオだけでなく、キャンティで収録していたのはシズル感に溢れていて良かった。「またね」という茶目っ気たっぷりの締めくくりは一番印象的だった。1月3日夜の放送時間帯で良かったのかが疑問だ。

2時間くらいあったら良いと思いながら楽しく聴けた。川添さんについて大体は知っていたが、ここまで現代のシティポップに関わっていらっしゃったのだという、発見に満ちた番組で、構成も面白かった。若い方を巻き込んで制作するともっと立体感が出るかもしれない。

非常に面白かったが、それぞれの音楽シーンで川添氏がどのように感じたかがクリアに伝わってこなかったので、要所のところではもう少し説明を加えた方が良かったと思う。このような番組を通して、時代の先端に関わり文化を作っている方を、若い人たちに伝えていくのはとても大事だ。

本人の声とナレーションでは割と客観的になり、当時の熱気があまり伝わって来なかったので、もっと番組から感じ取れたら更に良くなったと思う。単なる昭和レトロのブームではなくて昭和文化だったという事が再確認でき、短い時間の中でも良くまとめた番組だ。

本当に楽しく良質な番組だった。数々のエピソードも興味深くぜひ続編を作って頂きたい。それは日本の音楽ファンの為、そして文化史を残すという意味でも必要だと思う。「良いものは良い」と伝わってきて嬉しかった。

非常に面白かったが、なぜこの方にプロディーサーとしての才能があったのかという面が出ていなかった気がする。他人から見ると、その方の凄さとか優れたところが客観的にかつ面白く語られて、実像が浮き彫りにされると思うので、対談形式も良いかもしれない。

文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史、副委員長・加藤タキ、 そして白井勝也、松永真理、荒川洋治、吉野隆、若林覚の各氏7名です。
(発言はこの順番ではありません。)

2023年3月20日
文化放送番組審議会事務局