1月24日に行われた第494回文化放送番組審議会について御報告いたします。「日本民間放送連盟 放送基準」が一部改正され2023年4月1日に施行されることに伴い、これに準拠する「文化放送番組基準」の一部変更について、番組審議会から「妥当である」との答申を受け、開会となりました。
毎年1月は委員の講演となっており、今回の講演者は弘兼憲史委員長で、講演のテーマは『台湾クライシス』で、その概要をお知らせします。

ウクライナ侵攻が始まってからほぼ一年、今もう一つの火種として中国と台湾の問題があります。あるデータによると、軍事力全体としてアメリカと中国ではアメリカの方が若干強いが、極東においては圧倒的に中国が勝っていて、今軍事バランスが非常に崩れているそうです。

中国は2050年頃までの間に世界一流の軍隊建設を目指す、国防費の高い水準での増加を背景に、海上・航空戦力を中心とした軍事力を広範かつ急速に強化するというスローガンを立てているとの事です。アメリカと中国の軍事力比較で中国が勝っているのは兵力、戦車で、宇宙衛星の数で言っても通信衛星以外は全て中国が勝っている状況の様です。

台湾を守らなければならないというのは色々な意味がありますが、単に民主主義防衛のためだけではなく、実は台湾に委託している半導体技術を守らなければいけないという事が大きいのです。台湾のTSMCという半導体製造会社は色々な国から設計図を貰って半導体を作る技術を持っています。実は半導体は経済安保の基盤であり、今や半導体を制する国が世界を制すると言われていますので、その技術を中国に取られてしまうと大変なことになります。今、その半導体を作っているTSMCを自国に持って来たいという動きが世界各国であり、日本ではTSMCが、ソニーセミコンダクタソリューションズともに熊本県に建設する新工場が2024年に稼働開始の予定になっています。

アメリカではアリゾナ州での工場建設の報道もありますが、今は大半を台湾に委託しており、中国に侵攻されたら死守すると思います。戦争は無い方が良いし、無いことを望みますが、これから、このような時代が来るかもしれない怖さがあります。そして日本はこの『台湾クライシス』紛争の火種に最も近い国です。

今後文化放送がこのような報道をする際、色々と気を遣うと思いますが、是非リスナーに向けて、ある程度現実に近い情報を届けていただきたいと思います。
以上弘兼委員長の講演概要でした。

文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、委員・白井勝也氏、松永真理氏、荒川洋治氏、吉野隆氏、若林覚氏の7名です。

2023年2月20日
文化放送番組審議会事務局