2月22日に行われた第485回文化放送番組審議会について御報告いたします。
議題は、2021年12月29日に放送した特別番組『伝説の作曲家 すぎやまこういち』です。すぎやま氏は文化放送に入社し、芸能部在籍時代は音楽番組を担当していたこともあり追悼の思いを込めての番組です。昨年の東京オリンピック開会式で流れた『ドラゴンクエスト』シリーズ関連の楽曲など数多くの名曲を生み出したすぎやま氏の人生を、自身が作曲した名曲とともに振り返りました。パーソナリティは豊田萌絵さんと太田英明アナウンサー、ゲストには宮川彬良さんと伊藤賢治さんをお迎えしています。

審議委員の意見の概要

50代半ばからゲーム音楽を始め、最後まで現役感を持って人生を全うされたと思う。
この番組は将来に悩んでいる若い方が聞いて、子供の頃から好きだった事を活かすにはどうしたら良いかを考え直すきっかけにして欲しい。

すぎやまさんが「音楽をするならテレビだ」と語っていた時代からは、電波の状況も端末の性能も良くなっているので、ラジオで音楽に付加価値をつけながら楽しめる時代になったのだとの発見があった。

ゲストの方の話が良く伝わる構成だ。すぎやまさんの人生が交響組曲だったという通り、一人の音楽家のたどった道と、関わった音楽そのものの世界の奥深さが良く伝わる、非常に立体感のあるいい番組だ。

心穏やかに聴けるいい番組だった。欲を言えば、予定調和的ではなくもっと時代を飛び越えた方が良かったのではないかと感じた。また、すぎやまさん自身が出演なさっていた声を聴きたかった。

すぎやまさんはコントラバスのパートを良く聴いていたという話が出てきたが、これは曲の基本になる部分であり、なるほどと思った。豊田さんは、男性3人の声に対して高い声なので、番組が聴きやすくなっていた。

深みと大きさとスケール感があり、新たな切り口で再度試みても良いと思う。太田アナの捌きは上手で見事なのだが、今回はすぎやまさんメインの番組なのでゲストの方を少し持ち上げすぎだと感じた。

巧みな構成で人選も素晴らしく制作者の情熱が伝わってきた。曲紹介、曲締めをきちんと入れて、途中から聴いている人も分かるようにして欲しかった事が唯一残念だった事で、他はすべてが良かった。

面白い企画で本当に楽しめた。宮川さんは話の内容も興味深く、エンターテイナーだと感じた。すぎやまさんの人生をトータルで見るのであれば、彼の政治的立場というのも少し紹介しても良かったかなという気はする。

文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史、副委員長・加藤タキ、
そして白井勝也、松永真理、荒川洋治、福本容子、吉野隆、若林覚の各氏8名です。(発言はこの順番ではありません。)

2022年3月21日
文化放送番組審議会事務局