戦後、私達日本人の暮らし振りは西洋化していき、より豊かで、自由で、平和な暮らしを求め、皆で力を合わせて一生懸命に走り続け、素晴らしい日本を築いてきました。
しかしこの度、東日本を襲った大震災によって、私達はもう一度しっかりと立ち止まり、一人一人が日本人として今後どのように歩んでいくべきかを考える時だと思っています。

僕は「音楽で何ができるんだろう？」と、自分の中で考えました。

日本には、私達が愛する歌、そして世界の人達に誇るべき名曲が星の数ほどあります。
これまでは新しい音楽や新しい文化を優先してきたため、自分達が持っている大切な財産や宝物を少し忘れていたような気がしています。
僕は、ここでもう一度、古い名曲から現在の名曲まで、“音楽の宝”を見つめ直し、歌い直して、これからの世代の人達や、そしてこれから産まれてくる子供達に大事に手渡すことによって、未来への道が一本すっと通る気がしています。

未来とは、誰かが描かないかぎり、そこには到達できないと思っています。
何となく日々を過ごす先に未来があるわけではなく、「こんな未来が作りたい」という、はっきりとしたビジョンを描くことによって道ができていく、僕はそう思っています。

僕は音楽家ですので、音楽の力を信じて、古い作品から現在の作品まで名曲の数々を、丁寧に手から手へ渡しながら、『もっとニッポニア、もっとジャパン！のうた』キャンペーンを通じて、未来への道をみなさんと一緒に歩いて行けたらと思っています。

宮沢和史（THE BOOM）