キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、前回はザリガニの飼い方をサイコーに聞きました。今回は別の生き物の飼い方を教わろうかと思っています。みんな、何かペットは飼っているかな? ひょっとしたら、これ最大のペットかもしれないねっ。いくよっ、恐竜です! 「恐竜、そんなのできっこない」と思うじゃない。もしかしたらできるかもしれない、ちょっとワクワクするお話ですよ。お知らせの後、サイコーが登場しま〜す。
今週のサイコーは、サイエンスライターの土屋健さんです。こんにちは。
どうも、サイエンスライターの土屋健です。よろしくお願いします。
お願いしま〜す。ラボにとんでもない本があるんだな。実業之日本社から出ています『恐竜の飼い方』、すごい本ですねぇ!
フフフ。
ちっちゃい字で「もしも?」って書いてある(笑)。
「もしも?」は重要ですからねぇ(笑)。
アハハハハ。『恐竜の飼い方』、「もしも恐竜がこの時代に生きていて、僕らが飼えるとしたらどう飼うべきか?」という本ですね。
そうです。
これは最高ですね! イマジネーションの世界というか、映画のような話で。
ありがとうございます。
何を論拠に、恐竜の飼い方をイメージされたんでしょうか?
この本は飼い方というファンタジーな内容ですが、すべて学術論文とか学会発表とか−もちろん先生方は飼い方をいっているわけではないですけれど、そこから発想をころがしていき、書いている形になりますね。
へぇ〜。飼いやすさみたいなものを星で、ミシュランガイドのように説明があって(笑)。ミシュランガイドは3段階ですが、10段階に分かれている。一番飼いやすいのが星10個。
はい。
飼いづらいのが星1個という。
はい。
これは興味深いですねぇ、いやぁ。これ、例えば食べ物が肉食系とか草食系、飛ぶとか飛ばないとかいろいろな恐竜の大きさとか、それによって飼い方の難易度が変わってきますよね。
そうですね。まず一番大事なのは、ちっちゃいほうがやっぱり飼いやすいという、そこですね。「数十メートルのものはどこで飼うんだ?」という話になりますから。
ええ。
あとは群れで生活している−犬を飼われてる方もいらっしゃると思いますが、基本的に社会性のある動物のほうが飼いやすいということで群れであれば飼いやすいとか。
ほぉ〜。
あと、子育てをするとか知能が高かったとか、そういうような要素をいろいろ組み合わせてミシュランガイドのように点数評価をしている形です。
なるほど。何だろう?じゃあ一番有名どころでは、肉食系のティラノサウルス。あれは必ず恐竜図鑑の表紙を飾るぐらい有名じゃないですか。これは、星はいくつで?
星は3つというふうな。
飼いにくい、ということですね。
飼いにくいでしょうね。
星3つ。特徴を教えてください。
はい。ご存じの方も多いと思いますが、とにかく大きな肉食恐竜で14メートルぐらい。見積もりは研究者によって違うんですが、とにかくアゴの力が強くてアリゲータの数十倍ぐらいの噛む力が。
アリゲータ、ワニのイメージですね。
はい。
ワニよりも数十倍のパワーがあるんですね。
生命が始まってからだいたい5億4千万年とか2千万年経っていますが、その中で登場したすべての陸上動物の中で一番強い。そういう意味で、最近ではティラノサウルスのことを「超肉食恐竜」と呼ぶようになっているぐらい、かなりどう猛で足も速くて、とにかく噛む力も強い恐竜になります。
ちょっとこの文章を抜粋したいと思います。土屋さんの書いた原文のままですよ。「飼い方−最も危険な肉食恐竜です。飼育をするには、かなりの覚悟と設備を必要とします。中途半端な柵では体当たりによってへし折られてしまうでしょう。広いスペースと太い鉄柵の準備が必要です。子どもの頃は小さく愛らしささえ感じるかもしれませんが、だまされてはいけません。10代で急成長し、1年で760キロ以上大きくなります。ストレス解消の意味もこめて、エサは生きた牛などの大型の動物を柵の中に放り、狩りをさせてください」。何ですか、これは(笑)。
ハハハハ。
これ、めちゃめちゃ面白い(笑)。
ほとんど学術論文とかバックボーンはちゃんとあるものですから。
だから結局、これを飼うには相当の設備とか覚悟とか経済力とか、いろいろなものがなくちゃダメということですね。
そうですね。個人で飼うのはまず無理だと思いますね。
僕、北海道に住んでいるからいいところありまっせ。
フフフフフ。
つぶれた動物園がありまっせ。
あぁ。
そういうことですよね。
そうです、そうです。そういう場所ですね。
いいなぁ。そういうところですごく頑丈な柵を用意して。で、牛。牛もいますよ。
そうですね。北海道はいい牛がいるでしょうね(笑)。
ただブランド牛を育てると高いですから、ちょっとお安い牛を提供するということですね。
そうですね、はい。
いい話だ。あと有名なのは、角があるトリケラトプス。トリケラトプスもたいてい図鑑に載っていますよね。
そうですね、有名な恐竜ですね。
これは、星はいくつですか?
星は6つをつけていると思います。
サイの化身みたいな感じの恐竜ですけれど、これはティラノサウルスより2倍飼いやすいということですね。
そうですね、ティラノサウルスよりはるかに飼いやすいと思いますが、ただほかの恐竜と比べて10段階の6なので決して飼いやすいわけではないですね。
そうですか。
ええ。
コツは、特徴は何ですか?
特徴自体は、みなさん大きさのイメージをどれぐらい持っているかわかりませんが、体長は8〜9メートルあるので、ちょっとした車よりも大きいですね。
飼い方の特徴は、「本来群れをつくるものが多いけれど、トリケラトプスは単体での飼育を好む」。群れで動くけれど一頭飼い−恐竜って一頭でよいですよね。
一頭でいいと思います。
一頭だけがペットとして飼われるのも、このトリケラトプスは好む。
というか、このトリケラトプスが入っている恐竜のグループを角竜類(つのりゅうるい)、角がある竜の類と書きます。角竜類はアメリカンバッファローみたいに数千とか数百頭とかまとめて群れを組むやつもいるんですが、トリケラトプスだけはなぜか化石はほとんど単体で見つかるんです。
はぁ〜、なるほど。
ふだん群れでは動いてなかったんだろうと。
なるほど。角竜類の中ではめずらしく個人行動を好んでいた恐竜だったということ。
そうです、そうです。
だから、ペットとして一頭だけ飼うのも許されるということですね。
むしろ多頭、いっぱいいるとストレスを感じちゃうんじゃないかという感じです。
それから、「角をこすりつけられるような太めの丸太を用意してくれ」と書いていますね。
トリケラトプスは成長にともなって角の方向が下を向いたり上や斜めを向いたり、角の形が変わってくるんです。おそらくそれは「かゆかったんじゃないか?」というところから、こすりつけるための丸太。
きっと何億年も前の世界から恐竜たちが「土屋、勝手なことをいってんじゃねえよ」と思ってるかもしれませんよ(笑)。
いや、もう抗議を受けつけるしかないですね(笑)。
ハハハハハ。『恐竜の飼い方』という本はお店に売っていますから、ぜひ書店で手にとって買ってください。まだこの本を買えない人は、絶対みんなの家に恐竜図鑑があるよね。それを見ながら確認してもらって、では来週、またお話をうかがいたいと思います。
はい。
今週のサイコーは、サイエンスライターの土屋健さんでした。ありがとうございました。
よろしくお願いします。
いやぁ、「もしも?」の話だけど、これあったら面白いですねぇ。それでは、夏休みももう近いよね。来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!