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「クラゲの生態」(2)
コーチャー/並河洋(ナミカワヒロシ)さん(国立科学博物館)
大村正樹&並河洋

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、長かった夏休みももう最後の放送になりました。みんな宿題に追われてない? 自由研究に追われてない? 大丈夫?今回もクラゲを取り上げます。実は人間の暮らしに役に立っている部分もあるんですよ。どんなふうに利用されているんでしょうか。お知らせの後、サイコーに聞いてみるよ〜ん。


大村正樹

今週のサイコーもクラゲの専門家、国立科学博物館の並河洋さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

ちょっとワンポイント英語で、クラゲは英語で何というんですか?

ジェリーフィッシュといいます。


大村正樹

いいですねぇ。ジェリーフィッシュ、読んで字の通りという感じですね。

そうですね。


大村正樹

クラゲが意外に僕らの暮らしに役立っているという話があるそうですけれど?

最近、みなさんもノーベル賞でクラゲということを聞いたことがあると思いますが・・・。


大村正樹

あっ! ええと…下村脩先生の何か光ってるクラゲですね。

そうです。オワンクラゲというクラゲをテーマにした研究です。


大村正樹

オワンクラゲ。

2008年になりますけれど、ノーベル化学賞は3人の研究者がもらったわけですが、その発端が下村先生のオワンクラゲの研究です。


大村正樹

端っこの部分が緑色に光るクラゲですよね。縁日でポキッと折ると緑色に蛍光に光る輪っかがあって、子どもたちがしているじゃないですか。あれを見るたびに僕はこのオワンクラゲを思い出します。

なるほど。まさにそうですね。


大村正樹

何で光るんですか?

下村先生も同じように「何で光るんだろうか?」と考えられたみたいで、十数年間ずっと研究されたと言われています。


大村正樹

はい。

ようやく1962年ですから、もう50年近く前でしょうか。その時にオワンクラゲに光る物質があることを発見されました。それがイクオリンというのと緑色蛍光タンパク質−ちょっと難しいですけれど。


大村正樹

オワンクラゲの光る物質はイクオリンと?

緑色蛍光タンパク質という二つのたん白質だということです。その緑色蛍光タンパク質は、縮めてGFPとよく呼ばれています。


大村正樹

緑色蛍光タンパク質はGFP。

はい。下村先生は、オワンクラゲにおいてイクオリンがまず青色に光って、その光を受けてGFPが緑色に光ることを発見されたそうです。


大村正樹

ほぉ〜。これは何に活きるんですか、タンパク質は?

その後、残りの2人の研究者が医学や生物にどのように使おうかと研究したそうですが、体の中でタンパク質がどういうふうに動いているかはなかなか調べられないんですね。


大村正樹

はい。

この2人の研究者は、GFPという発光するタンパク質を目的のタンパク質にくっつけて光らせる。それを目印にしてタンパク質がどのように体の中を動いているかを調べた。そういう方法を編み出したということらしいです。


大村正樹

それでもって何か医学的に役に立つことはあるんですか?

例えばガンになるような物質がどういうふうに動いているかを、目印を付けることによって目を通して分かることで非常に研究が進んだと言われています。


大村正樹

オワンクラゲの発光物質が、ガン細胞がどのように体内で動いているかを研究する非常に重要な役割を担っているということですね。

そうだと思います。


大村正樹

クラゲの発光成分が?

はい。


大村正樹

へぇ〜。クラゲってほかにもどういうふうに役に立ってますか?

そのほかで人間の役に立っているものとしては、化粧品にも応用されたりとか。


大村正樹

何の化粧品ですか? クラゲパック?

最近、コラーゲンという。


大村正樹

あぁ、お肌プルプル。

そうですね。コラーゲンをクラゲから取り出して化粧品に応用しているという研究もあるようです。


大村正樹

へぇ〜。何かクラゲを適当にはさみで切って顔にのっけるだけでお肌プルプルになりそうな気がしますけれど、そんなことはしないほうがいいですか?

毒針がありますからチクチクしてしまうと思います(笑)。


大村正樹

分かりました。研究機関にまかせましょう。じゃあ、お母さんたちのお肌プルプルにもクラゲが役立っている。

そうらしいですね。


大村正樹

今日は夏休み最後ですよ。これから自由研究のテーマにクラゲを4日で研究しつくす方法はありますか?

う〜ん、なかなか難しいですね。


大村正樹

無理ですか?

ただ1回水族館へ足を運んでみるのはいいと思います。


大村正樹

水族館でクラゲを見て何を得られますか?

まず水族館でクラゲがどういうふうに動いているか、泳いでいるかをじっくり観察する。


大村正樹

そこからどうすればいいですか?

水族館によって何種類かクラゲを飼ってると思いますので、クラゲによって泳ぎ方がどう違うか、形と泳ぎ方の関係などを研究したらいいんじゃないかと思います。


大村正樹

クラゲを家庭の水槽で飼うことはできないんですか?

ミズクラゲについて言いますと、あまり大きくなると大きな水槽を準備しなくちゃいけないのでなかなか難しい。


大村正樹

家庭で飼うのはちょっと厳しい?

小さなミズクラゲ、数センチぐらいの大きさだったら飼うことができるんじゃないかと思います。


大村正樹

そうですか。クラゲ、絶対見てるだけで面白い生き物なので、ぜひチャレンジしたいんですけれど。クラゲは基本的に海だけの生き物ですか?

ほとんどが海にいますけれど、真水にいるクラゲ−まさにマミズクラゲという名前で1種類だけいます。


大村正樹

1種類だけなんですか! そのクラゲがマミズクラゲ。

はい。


大村正樹

関東で生息は?

実はマミズクラゲは神出鬼没でして、時々湖とか防火水槽とかにクラゲが出たというニュースがあるんですが、しばらくするといなくなってしまうというクラゲです。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、僕らが見たいと思っても、どこに行ったら見られるというのはないわけですか?

マミズクラゲは、確実にそこに行けば見られるというわけではないようです。


大村正樹

そうですか。いやぁ、興味深いですねぇ。これまでご覧になったクラゲで一番感動したクラゲは何ですか?

私もクラゲの研究はしてるんですが、成長して1センチぐらいしかないクラゲなど非常にきれいなクラゲがいまして、それを見るとやっぱり感動しますねぇ。


大村正樹

何というクラゲですか?

ヒドロクラゲという、ミズクラゲと別のグループのクラゲです。


大村正樹

ヒドロクラゲ。

ヒドロ虫という、ヒドラという淡水にいる生き物がいますけれど、その仲間のクラゲです。


大村正樹

ちっちゃいけれど見てるだけで?

きれいですねぇ。


大村正樹

へぇ〜。クラゲって不規則な動きもするし、ちょっと変わった生き物だから見てて楽しいですよねぇ。

そうですね。


大村正樹

クラゲに魅せられたきっかけは何ですか?

そもそも柿沼好子先生というクラゲを研究している先生についてまして、そこで研究したのがきっかけです。


大村正樹

何年間、クラゲを?

大学院の修士課程で柿沼先生について、それからずっと今までクラゲの研究を続けています。


大村正樹

分かりました。夏休みも残りわずかで上野の国立科学博物館、やっぱり多くのキッズたちが来たと思うんですが、クラゲの展示もしているわけですね。

はい。一部、死んでしまった固定の標本ですが展示しています。


大村正樹

分かりました。クラゲに興味を持ってもらったら、キッズが科学博物館でギリギリ駆け込み自由研究のヒントになるかも知れないですね。

はい。


大村正樹

今日のサイコーは、国立科学博物館の並河洋さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

並河さんはPHP研究所の、ちびっ子たちが読む図鑑みたいなちょっと大きな本『クラゲ大図鑑』という本を監修されています。手元にあるんだけど、すごいねぇクラゲって色んな種類があって。みんなもよかったらインターネットとかでクラゲを調べてみて。ということで、クラゲに関して分からないことだらけだったけど、この2週間でみんなもちょっとは分かったかな? 夏休みも残りわずかです。みんなもすてきな思い出をつくってください。それでは、来週も夕方5時半に会いましょうね。みんなも楽しい2学期と、まだ前期の後半が残ってるから元気に学校へ行ってください。バイバイ!