キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。少し前に飛行機や新幹線を取り上げました。そして今回は乗り物シリーズ第3弾!ヘリコプターです。みんな、たぶん乗ったことないんじゃないかな?でも、東京の上空って、けっこうヘリコプターが飛んでるのを見るよね。「あれ、何で飛ぶのかな?」とか不思議に思ったことない? お知らせの後です!
今週のサイコーは、航空ジャーナリストの坪田敦史さんです。こんにちは。
- こんにちは。
坪田さん、今日は特別な日なんです。10月3日、何だと思います?
- 何があったんでしょうか?
この番組が始まって4年目に入りました。イェイ!(拍手)
- そうですか!(拍手)
おかげさまで4年目の最初のサイコーです! 坪田さんはヘリコプターに関しては日本で一番詳しいとか。
- どうでしょうか。でも航空ジャーナリストの中では、ヘリコプターに詳しい方はとても少ないものですから…。
「ヘリコプタージャーナリスト」ではなくて「航空ジャーナリスト」の範ちゅうにいらっしゃるわけですね。実は、3ヶ月ぐらい前に航空ジャーナリストの秋本俊二さんという方にお越しいただきました。つながりがあるんですか?
- はい。航空ジャーナリストは日本で数えるほどしかいませんので、取材先とかでお会いすることがけっこうあるんですよ。
じゃあ、テレビに出てくるあの眉毛がつながった人もご存じですか?
- もちろん、よく知っています。
青木さん。
- 青木謙知(ヨシトモ)さんです。
ですよね。あの人、眉毛つながってますよね(笑)。じかに会ったら、眉毛を見ちゃいませんか?
- いえ、もうかなりよく知っている人なので、そこまで(笑)。
慣れちゃって。
- 慣れてます(笑)。
あんな眉毛は、たぶん『こち亀』の両津勘吉さんか青木さんぐらいしかいないんじゃないかな(笑)。
- そうですね(笑)。
ところで、坪田さんは世界中で100機種以上のヘリコプターを取材されている。そんなに種類があるんですか?
- あります。世界で飛んでるヘリコプターの種類はアメリカが製造したもの、それからヨーロッパ、ロシアが製造したものがあります。20年ぐらい取材を続けてますが、トータルで100機種ぐらいあると思います。
国産のヘリはあるんですか?
- 国産のヘリはなかなか開発が難しくて、実は1機種あるんですがあまり導入が進められてないような状態です。
へぇ〜。じゃあ、日本の空を飛んでいるヘリコプターは、ほとんどが外国のものですか。
- ほとんどがアメリカ製かヨーロッパ製になると思います。
たぶんラジオを聴いているキッズたちも、飛行機は乗ったことがあってもヘリコプターに乗ることって、まずない。
- そうですねぇ。ヘリコプターはあまり身近な乗り物ではないかも知れません。でもヘリの音が聞こえて上空を見上げると、ヘリコプターが見えるということはよくありますよね。
そうそう、報道機関のヘリとか…。でも、それはなかなか乗れない。山で迷子になるしかないですよね。
- ヘリコプターにどうしても乗りたいという方がいらっしゃったら、遊覧飛行をやってますので、航空会社に問い合わせてみるといいかもしれませんね。
お金、高いですよね?
- はい。15分で8000円ぐらいします。
じゃあ、家族4人だったら15分で32000円!?
- はい、そうです。
ワォ〜!
- 非常に運行コストが高いという特徴があります。
へぇ〜。
- しかし、15分あればかなりいろいろなところを観て回ってくることができますよ。飛行機に乗る15分とヘリコプターに乗る15分はかなり違います。
東京だったら、どこで発着してるんですか?
- 東京ヘリポートです。江東区にヘリポートがあるんですよ。そこから発進してます。
新木場。
- はい。そこから新宿回って、池袋回って帰ってくることができます。
15分で。
- 15分から20分ぐらいでできます。
へぇ〜。興味があったら、ぜひお父さんにおねだりしてください。 飛行機が飛ぶのは、翼が丸まっているので揚力で上がるということを以前ジャーナリストの秋本さんから伺いました。では、ヘリコプターが飛ぶ原理は? 基本的にプロペラで飛ぶわけですよね?
- もちろん、ヘリコプターが飛ぶ仕組みもこの揚力が関係してます。空を飛ぶ仕組みは、実は飛行機もヘリコプターもそんなに変わらないんです。
はい。
- ただ、飛行機の場合は翼が固定されていてそのままで揚力が出るんですが、ヘリコプターには、上に大きなプロペラが付いている。これを回転翼といってます。
回転翼。
- 回転する翼です。翼を回転させることによって上向きに揚力が出ますので、それを利用して浮き上がることができる。
飛行機はジェットエンジンで前に飛ばすから、翼が揚力を受けて浮き上がる。
- その通りです。
ヘリコプターはモーターで回ってるんですか?
- 実はヘリコプターにもジェットエンジンを積んでまして、その力でヘリコプターのプロペラを回すという仕組みになってます。
回転して?
- はい、そうです。
その揚力を受けて浮き上がるということは、飛行機と同じ揚力で上がるんですか?
- そうですね。翼を回して空気と翼がぶつかり合う仕組みは、ヘリコプターも飛行機も変わりません。自分から翼を回して空気とぶつかり合って、そこで揚力が出る。つまり浮き上がることができる。
で、その揚力だけで上がってるんですか?
- そうですね。飛行機と違って、ヘリコプターはプロペラが回らないと完全に能力が出ない。回ってるから揚力が出るということがいえると思います。
なるほど。あと、ヘリコプターは実物を見ると、尻尾のほうにプロペラが付いてますよね。
- 小さいローターですね。
ローターというんですね。後ろにあるローター、あれは何の役割ですか?
- プロペラを回すと、回した方向に機体が逆に回転してしまう作用があるんです。これをトルクと呼んでいます。トルクを押さえるために、縦にもう1個プロペラを後ろに付けて機体が回らないように押さえつける仕組みです。
あの大きなプロペラだけでは、ヘリコプターは飛ばないということですか?
- そうです。物理的には飛ぶんですが、自分自身が逆側に回ってしまいます。大きなプロペラの回転する方向とは逆の方向に回ってしまう原理になります。
ちょっと待ってください。となると、何でタケコプターは、ドラえもんとのび太は安定した飛行ができてるんですか?
- それは私にも分かりませんが、あの原理では飛ばないと思います。
えっ、タケコプター、ほんとはあり得ないんですか?
- はい。
ショック! そうなんですかぁ。
- 専門からいえば、のび太とドラえもんがタケコプターを付けてるシーンを見ますと、自分の体がタケコプターの回転方向と逆の方向に回ってしまうんですね。絶対にそういうことになってしまう。反動でそうなるんですね。
えぇ〜!? じゃあ、ドラえもんに出てくるタケコプターを付けたら、ドラえもんものび太も逆回転を激しくしなければ、物理的には空を飛べないということですか?
- そうです。飛べるんですがクルクル回ってしまう。実際もし、ヘリコプターに後ろのプロペラがなくなったとすると、クルクル回りながら墜落してしまいます。
ショックだぁ…。藤子・F・不二雄先生、違ったんですって。そうですか。やっぱりローターが後ろにないとヘリコプターは成り立たないということですね。
- そうなんです。
何でヘリコプターは前進するんですか?
- これは、上に付いてる大きなプロペラが回ってるだけに見えるかもしれませんが、実はそのプロペラの角度を微妙に変えてるんです。前に傾ければ風は少し後ろ側に、今まで下に風をやってたものが少し後ろ側にいきます。そうするとそのまま反動で前に進む。
ヘリコプターの大きいプロペラは傾くんですか?
- 実は微妙に傾いているんです。
飛んでる時ちゃんとチェックしなくちゃいけないけど、なかなかチャンスないですもんねぇ。
- はい。微妙に前に傾いたり後ろに傾いたり、右や左に傾いたりしてるんです。
前後左右、後ろも。
- バックもできます。
ちょっと待ってください。もう時間です。すみません。世界のヘリコプターを知る方にこんな入口だけで…。坪田さん、来週もよろしかったらお話の続き伺ってよろしいですか?
- もちろんです。
ありがとうございます。今週のサイコーは、航空ジャーナリストで特にヘリコプターに詳しい坪田敦史さんでした。ありがとうございました。
- ありがとうございました。
ヘリコプターと飛行機を兼ねてるものもあるということで坪田さんが紹介してくださったんですが、アメリカのティルトローターという飛行機に変身するヘリコプターがあるんです。これもインターネットで調べてもらうと、非常に変わった形をしてるので、興味のあるキッズはぜひ見てください。それでは来週もまた夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を! そして、2学期制だったら来週から後期がスタートだよ。バイバイ!