後藤 寛勝 (NPO法人 僕らの一歩が日本を変える。 代表理事)
選挙権が18歳まで引き下げられたことで、有権者がおよそ240万人増えました。これは、人口の2%に当たる数です。選挙権年齢の引き下げは「2%の人たちの声を聞きたい」という社会からのメッセージ。僕はそう考えています。20歳未満の若者が体験する最初の選挙となった2016年7月の参議院選挙では、18歳の投票率は51%、19歳は42%でした。全体の投票率が54%ですから、決して少ない数ではありません。 僕は「スゴく、いいね!」と思っています。この数を今後も継続していけば、若者の声がきっと政治に届くと思います。投票は意思表示の方法だけど、唯一の方法ではありません。社会や政治にアプローチするやり方にはいろいろあって、その一つが投票です。だから、投票はとても大事なことだけれど、そんなに重く考えなくたっていいんです。
「僕はこう考えている」「私はここにいる」──。そんなメッセージを伝える方法の一つとして、投票をとらえてみてはどうでしょうか。
金田 喜稔 (一般社団法人 日本サッカー名蹴会 会長)
6年前、JリーグのOBが集まって、「日本サッカー名蹴会」という団体を作りました。名蹴会の目的は大きく二つあります。一つは、先輩方が築いてくれた日本サッカーの歴史を後輩たちに継承していくこと、もう一つは、世界に通用するプレーや、サッカーの楽しさ、素晴らしさを若い人たちに伝えていくことです。
昨年からは、11歳以下の選手が参加するサッカー大会を開催しています。この取り組みの目的は、「フェアプレイを学んでもらうこと」です。「フェア」とは何か。自分が持っている力を出し切って、全力で相手に勝とうとすることです。そして、たとえ試合に負けても、次を目指していく姿勢をもつことです。
かつての名選手たちやスポンサー企業、そして社会から支持してもらうことで、この活動は成立しています。これからも多くの人たちからサポートしていただきながら、スポーツを通じて世の中にメッセージを伝えていきたいと思います。
今村 亮 (NPO法人 カタリバ)
日本の高校生は、ほかの国の高校生と比べて自信がないといわれています。僕自身もそうでした。でも、高校は未来に向かう最後の分かれ道になる場所です。その場所で何となく生きるのはもったいない。そう考えた二人の大学生が、高校生と本音で対話をすることを目的に15年前に立ち上げたのがカタリバです。
当初はまったく相手にされていなかったこの活動を最初に支持してくれたのが、高校の先生方でした。先生方は、親や教師との「タテの関係」でもなく、友達との「ヨコの関係」でもない「ナナメの関係」をつくることのできる大切な活動であると言ってくださいました。その後、教育委員会や文部科学省、さらにはたくさんの高校生の支持を得て、現在では全国270校、3万5000人の高校生と対話できるところまで活動は拡大しています。
すべては支持してくれた皆さんのおかげです。「自分は誰を支持したいのだろう?」。その問いが、投票という行動にもつながる。僕はそう信じています。
Zeebra (ヒップホップアクティビスト)
2016年6月23日まで、日本は「深夜に踊ってはいけない国」でした。夜の12時以降にクラブやディスコでダンスをしてはいけないという法律があったからです。その時代錯誤な法律に対し、DJやアーティストたちが集まって「クラブとクラブカルチャーを守る会」という団体を立ち上げ、僕がその代表となりました。僕たちは「PLAYCOOL」というキャッチフレーズを掲げて、店の外で騒がないようなマナーを広めたり、早朝の渋谷でゴミ拾いをしたりしました。国会議員とも何度も話し合いの場をもちました。僕たちには踊る権利があるし、クラブが健全経営をすれば経済的効果もある。もちろん、そのためには踊る人たちがマナーを守らなければならない。「権利」「経済」「マナー」。その3つが揃うことで、ついに法改正が実現しました。はじめは「変わるはずがない」という人もたくさんいました。でも、やろうと思えば物事は変えられるし、そのためには政治を巻き込むことが必要なんだ。そのことを僕は皆さんに伝えたいと思います。
のり:
ということで今回は「みんなで創るセカイ」というテーマで、他ではなかなか聞けない貴重なお話を聞かせていただきました!
「いきなり投票権をもらったって、どうしたらいいか分からないよ~」
っていう人もいるかもしれないけど、KEY NOTEの後藤さんの話で、肩の力が抜けた人もいると思うんだよね。
そして第二部に登場してくれたみなさんは、セカイは違うけどそれぞれ大活躍している人たちばっかり!でもそんな人たちでさえ、仲間の支持や応援があったからこそ実現できたっていうのは新鮮だったし、僕は、「応援するひとりひとりが、ちゃんとその意思を表していかなきゃ」って思いました!
それでは最後に、登壇者のみなさんからのメッセージを紹介したいと思います!
以上、選挙レコメン文化祭、実行委員会からのイベントレポートでした!
のり:
いやあ、盛り上がりましたね~。
ひなこ:
盛り上がりましたね~。
のり:
椅子はほぼ満席状態。大学生や高校生が中心で運営する団体のブースにもたくさんの人だかりができていて、若い人たちの社会参加への関心の高さをあらためて感じたね。
ひなこ:
ほんと、みんな考えてるんだなーって思いました。街のお掃除をキッカケにした社会参加だったり、スポーツを通じた社会参加だったり。女子大生が子育て体験を通じて社会参加を考える、なんていう女の子ならではの活動もあって、みんな自分たちにできる世の中との関わり方を考えてるんだな~、って新鮮でした。
のり:
第一部では、現役大学生の後藤さんと、会場でもある芝商業高校の生徒さんにも登壇してもらったわけだけど、みんな自分の意見を持っているし、何より本音で語ってくれたのが嬉しかったね。ひなこちゃんは第二部からの参加だったけど、金田さんの話はどうだった?
ひなこ:
熱かった!志をもって活動している人を応援したり、支持したりすることって大事なんだな~と思いました。
のり:
どんな活動だって、支持してくれる人がいないと広がっていかないからね。それを選挙に当てはめたときに「支持する」ことと、「投票する」ことは実は同じで、自分の好きなアイドルを支持したり応援することと似てるかも、って考えるとけっこう身近に思えるよね。
ひなこ:
そうそう。私は次の今村さんの話もすごく共感できました。「私は誰を支持したいのかな?」って考えることが投票なんだ、って。
のり:
Zeebraさん、かっこよかったよね~。しかも、法律を変えるために自ら朝の渋谷でゴミ拾いをするって、すごくない?
ひなこ:
「やろうと思えば物事は変えられる!」というメッセージが、ぐいぐい刺さりました。
のり:
会場のみんなにも刺さったと思うよ。最後に「今日のイベントに参加して意識が変わった?」って質問したら、ほとんど全員が「Yes」のカードを上げたもんね。
ひなこ:
ほんと、あっという間の2時間でした。私も勉強になりました!
のり:
選挙や投票に関心を持ってくれる若者がもっともっと増えるといいよね。僕たちも投票に行かなきゃね。
さてここからは各sessionの内容を紹介するので、当日会場に来てくれて共感した人も、残念ながら会場に来れなかった人も、登壇者のアツい想いをぜひ感じてくださいね~。