政府は10日、各府省庁のサイバー攻撃対策担当者による会議を首相官邸で開き、中国情報機関との結び付きを指摘されている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を事実上、政府調達から排除する方針を決めた。トランプ米政権は中国による不正な通信傍受などが安全保障上の脅威になりかねないと懸念しており、日本も歩調を合わせる必要があると判断した。改善基調にある日中関係に配慮し、2社の名指しは避けた。
菅義偉官房長官は記者会見で「情報の窃取、破壊など悪意ある機能が組み込まれた機器を調達しないことは極めて重要だ」と指摘した。
2018/12/11
政府、華為技術とZTE排除決定 米に歩調合わせ、名指しは回避
東北大学特任准教授・弁理士
稲穂健市
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日本政府が、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を事実上、政府調達から排除する方針を決めたとの報道後、さらに、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社も通信設備から中国製品を事実上除外する方針を固めたとの報道が一部でなされています。
また、カナダではファーウェイのCFO(創業者の娘)が逮捕されるなど、中国のハイテク企業への風当たりが益々強くなっています。中国製品に本当に「悪意のある機能」が組み込まれているのかどうかは不明ですが、既に報道されているように、通信技術分野における米中の覇権争いが背景にあることは間違いありません。
日本の一般の方々の感覚では、ファーウェイと聞いても、「コスパの良いスマホ」といったイメージしか持たれていないかもしれません。じつは、スマートフォンの売上では、アップルを抜き、韓国サムスンに次ぐ世界第二位で、携帯電話のインフラ機器では世界のトップメーカーです。現行の4Gでは日本国内の基地局でも広くファーウェイ製品が使われています。
これだけ急速に普及した背景には、低価格だけではない技術力の大幅な向上があります。実際に特許出願も活発に行われており、2017年の「特許協力条約」(PCT)による国際出願件数では、ファーウェイとZTEが、それぞれ1位と2位を占めるまでになっています。将来、中国のハイテク企業が圧倒的な技術力と知財力を持つに至れば、「市場から排除しておしまい」では済まない状況になる可能性も否定できません。
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