2017/4/11

再生エネ、初の長期戦略を策定 環境省「脱炭素社会」へ

環境省は10日、地熱や洋上風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーを、2030年に大量に導入するための長期戦略を策定することを明らかにした。50年以降の「脱炭素社会」実現に向け、パリ協定に基づく地球温暖化対策に生かす。今後予定される国のエネルギー基本計画の見直しや予算編成に反映させる。
 再生可能エネルギーに絞った国レベルの長期戦略づくりは初めて。近く事務次官をトップに省内チームを立ち上げ、来年春までに「再生可能エネルギーの活用による二酸化炭素(CO2)削減戦略」の第1弾をまとめる。30年段階の数値目標も示す方針だ。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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脱炭素社会実現に向けた環境政策に異論はありません。

問題は、地球規模で効果的に実施する必要があるにも関わらず、パリ協定自体が形骸化する懸念が高まっていることでしょう。


CO2の2大排出国でありパリ協定実効化の主導的役割を担う米国と中国は、それぞれがパリ協定形骸化につながりかねないアクションを起こしつつあります。

トランプ米大統領は、3月28日に地球温暖化対策に向けた規制の見直しを命じる大統領令に署名しましたが(なおトランプ氏の長女イヴァンカ氏やティラーソン国務長官などは地球温暖化対策に前向きとされており、予断を許さない状況にあります)、米国内の石炭産業保護が目的とも指摘されています。


一方中国は、表面的にはパリ協定に基づく自国方針(基本的には石炭使用量削減と再生可能エネルギー拡大)を変えておらず、自国の石炭火力発電所の建設は停止している一方、近隣諸国(東南アジア等)での新規建設には資金拠出を続けているとの指摘もあります。


以上のように、地球規模で人類が直面する最大の問題に対して、主導的な2大国のイニシアティブが低下している可能性が指摘されており、(急な変更の可能性は低いと思いますが)今後の我が国のエネルギー政策に与える影響や、周辺産業(太陽光エネルギー関連産業や、発電設備関連産業など)に与える影響にも注視すべきと思います。

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