2018/2/13

太陽光発電コスト7年で73%減 世界平均、風力も下落

 地球温暖化対策として拡大が期待される再生可能エネルギーの発電コストが2010年からの7年間で大幅に下がり、世界平均で太陽光は73%、陸上の風力は23%下落したとの報告書を、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が12日までにまとめた。
 20年までに太陽光のコストはさらに半減する可能性があり、一部の太陽光と陸上風力は、火力発電より安くなると予測。アドナン・アミン事務局長は「再生エネへの転換は、環境への配慮というだけでなく、今や経済的な選択だ」と指摘した。

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東北大学特任准教授・弁理士
稲穂健市
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太陽光発電のコストは、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)に加えて、設置工事や付属機器などの初期費用、その後のメンテナンス費用などで構成されます。近年、コストが格段に安くなってきている背景には、中国メーカーによる太陽電池モジュールの価格破壊が挙げられます。


太陽光発電といえば、かつては世界市場において、シャープ、京セラをはじめとした日本企業が大きなシェアを占めていました。ところが現在では中国企業が圧倒的なシェアを誇る一方、日本企業のシェアはわずか数パーセントにまで下落していると言われています。日本企業は20世紀から太陽光発電に関する先駆的な研究開発を行い、多くの特許も取得してきました。しかし最近は中国や韓国など他国に押され気味で、その優位性も崩れつつあります。


さらに、日本国内では、初期費用が高額となることなどに起因するコスト高体質(非住宅用の導入コストは欧州の約2倍)や政策的な不備が、健全な市場拡大の足かせとなっています。国民負担を抑えつつ国際的な潮流に乗り遅れないための官民一体となったさらなる取り組みが求められていると思います。

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