【ワシントン共同】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は13日、主要政策金利を0・25%引き上げることを決めた。景気拡大に対応するのが狙い。利上げは半年ぶりで、今年1月に発足したトランプ政権下で3回目。利上げが1回にとどまった2016年に比べペースが加速した。18年は3回実施するとの従来予想を維持した。最大の経済大国、米国の利上げは世界の資金の流れに影響を与えそうだ。
金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)で決めた。
米FRB、半年ぶり利上げ 0・25%、18年は3回見込む
FOMCは利上げの有無に焦点が当たりがちですが、債券市場関係者は、3ヵ月に1度発表されるスタッフ経済見通し(SEP:the Summary of Economic Projections)も注目しています。
今回公表された12月のSEPでは、当面の経済成長率見通しが上方修正(2018年から2020年をそれぞれ+2.5%、+2.1%、+2.0%とし、前回(9月)のSEP(同+2.1%、+2.0%、+1.8%)に比べ特に2018年が大幅に上方修正)され、トランプ政権による減税効果を織り込んだ模様です。物価見通し(コアPCEインフレ率見通し)は、前回SEPから変更されませんでした(同+1.9%、+2.0%、+2.0%)。一方、失業率は下方修正(9月SEP(同4.1%、4.1%、4.2%)から12月は同3.9%、3.9%、4.0%)されました。これらは、最近のフィリップス曲線(横軸に失業率、縦軸に物価上昇率を取った場合、右肩下がりになるという考え方)のフラット化(失業率が低下しても物価が上がりにくい)という大トレンドと整合的です。
今、債券市場では、フィリップス曲線がなぜフラット化しているのかに注目が集まっています。我が国でも失業率の低下や有効求人倍率の上昇の反面、なかなか物価が上がりません。来年は米FRB議長がイエレン氏からパウエル氏に交代します。次回のSEP(18年3月)はパウエル氏の下で行われますが、これに対する明確な説明が求められるため、市場が注目しています。
なお、イエレン氏の4年間を振り返った場合、最大の業績は非伝統的な金融政策(ゼロ金利政策および量的緩和政策)からの撤退を、経済や金融市場にストレスを与えることなく達成したことでしょう。特に、FRBと市場間のコミュニケーションにコミットしたことは偉大な業績といえましょう(例えば、ドット・チャート(FRBメンバーによる将来金利予想をドット・チャートにして公表しています)に代表されるツールを導入しました)。
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